キン肉マンは「プロダクトプレイスメント」ではなく「ステマ」のハシリだったのかも
「キン肉マン」といえば「牛丼一筋300年〜♪」と吉野家の牛丼のイメージが強いと思いますが、今日はこの『週刊少年ジャンプ』黄金期を支えた作品のひとつ「キン肉マン」と広告についての話を書きます。
プロダクトプレイスメントってなに
広告の世界には「プロダクトプレイスメント」と呼ばれる手法があります。
たとえばドラマの主人公が持ってるスマホや時計や、乗ってるクルマがじつはスポンサーの会社のもので、こんな感じで企業の商品を役者の小道具や背景として登場(露出)させる手法のことをいいます。
Wikipediaによれば
誕生は1955年公開のハリウッド映画『理由なき反抗』と云われる。劇中でジェームズ・ディーンがポケットから櫛を取り出し整髪するシーンが何度も出てくるが、これを観た当時のアメリカの若者たちから「ディーンが使っていた同じ櫛はどこで買えるのか?」と映画会社(ワーナーブラザーズ)に問合せが殺到。これが新しい宣伝ビジネスモデルになると気づいた映画会社は、以降、一般企業との「劇中広告でのタイアップ」を始める。これが「プロダクト・プレイスメント」と呼ばれ、一般化した。現在、アメリカではPP専門の広告代理店が数十社存在する。
とあります。これがほんとうに最初のきっかけなのかはわかりませんが、じつに賢い人たちですね(狡猾なという表現のほうが適切かもしれないけど)。
じっさい、こうした例は増えています。ま、メガネなんかは「○○モデル」みたいなタイアップ商品を販売したりしてるので、当初の「ドラマや映画などの作品内に企業の商品をさりげなく映り込ませる」をこえて、ドラマがCMみたいになってるところもありますけど。
キン肉マンの作品中に登場した企業の商品
で、「キン肉マン」ですが、じつは吉野家がスポンサーだった、という話ではありません。むしろ「吉野家はアニメも含め一度もスポンサードしたことがない」と作者の嶋田先生が過去にツイッターで発言されてて話題になってましたね。
じつはキン肉マンは1話目から牛丼を食べてるのですが、そこに企業名は入っていませんでした。
ミートくんが初登場する第3話「キン肉星からの使者の巻」で「牛丼ひとすじ八十年♪」という吉野家のCMソングが出てきます。
(CMソングの引用なのでJASRACの表示はありました)
そして4話目の「キン肉星を救え!の巻」で「ここは吉野家 味の吉野家」とはっきり吉野家の企業名が作品中に登場します。若い人は知らないかもしれないけど、これもCMの冒頭で流れてたナレーションです。
ここまでがっつり登場してても、吉野家についてはゆでたまご先生が勝手に使ってただけでお金は支払われていなかったそうです。
(ギャグとしてCMを使うという手法は珍しくはないです)
お金を出していたのは吉野家ではなく、森永製菓と森永乳業でした。
アニメのほうに登場していた記憶がぜんぜんないんだけど、たしかに原作にはポテロングやサンキスト、森永ココアといった商品がやたら登場します。
今回これを書くためにコミックス1巻を読み返したけど、12話目の「孤独のドジ怪獣の巻」にポテロングが登場して以降、たしかに毎週のように森永の商品が出てきます。
以下に一部だけ紹介しますが、じっさいにはもっと頻繁に出てます。
また、お金が出ていたことは先生の本で明らかにされていますので、該当部分を引用します。
ポテロングでスポンサー獲得!!
話は唐突に変わるが、ポテロングというお菓子をご存知だろうか?
森永製菓から長年にわたり出されているスナック菓子だが、ボクたちは作品中で何度もこのポテロングをキャラクターたちに食べさせた。森永のココアを出したこともある。
これを出していたのには理由があった。
連載開始初期の頃、ボクたちの原稿料は1ページにつき、5000円だった。だいたい月の収入にすると20万円ぐらいである。これをボクたちは2人で折半していた。
ボクたちはひとりではなく、2人のコンビであったため、さすがにこの収入で生活するのはキツかった。しかし、ここで思わぬ助け舟が登場した。
それが森永製菓である。森永製菓の重役さんがボクたちの『キン肉マン』を気に入ってくれて、作中に一コマ出すだけで、1週につき、5万円を出してくれることになったのだ。
つまり、森永製菓が『キン肉マン』のスポンサーになってくれたのだ。
最初、ボクたちは絵の脇にひっそりと森永のココアやポテロングを置くだけだったが、そのうちキャラクターたちと積極的に絡ませるようにした。
「ヒゲとココアさんはよく似合う」(キン肉マン)
「ヒゲを生やさんでください!」(ミートくん)
このやり取りやミートくんのエンジェル体操など、ドンドンドンドン作中で森永製菓の商品を出していった。それは森永製菓の重役さんのご好意への恩返しの気持ちもあった。
この収入のおかげで、ボクたちは駆け出しの頃に苦しい生活をせずにすんだからである。プロレスのリングを見たことのある人ならよくおわかりだろうが、リングのマットやコーナーポストにはよく企業広告が入っていることがある。
『キン肉マン』における森永の商品は、それを同じ役割を果たしていたのだ。
宝島社「ゆでたまごのリアル超人伝説」P.63-64
美談のように書かれているけど、お金が払われていることが明らかで、だけど作品中にはどこにもそれが明示されていないということは、ありていにいえば「ステマ」です。
ぼくらが大好きな「キン肉マン」がこの収入によって支えられていたという事実は、当時愛読していたぼくにとって心情的には責めづらいけれど、だったら堂々と書けばよかったのにとも思うんですよね。
(書いてたほうが広告の歴史的にも画期的だったわけだし)
キン肉マンはプロダクトプレイスメントのハシリなのか
「キン肉マン」が「プロダクトプレイスメント」のハシリだとか、元祖だとかという話はネットを検索すればけっこう出てきます。
だけど、ちょっと残念な話ではありますが、作中はもちろん巻末にもいっさいスポンサークレジットがありませんので、これはむしろ「ノンクレ広告」のハシリといったほうが正しいのかもしれません。
ましてや森永の商品を宣伝しようという意図が少なからずあった以上、ステマといわれてもしょうがないかなあと。
ちなみに森永製菓はアニメ版のスポンサーをつとめていたそうですが、アニメは1983年からの放送なので、少なくとも連載開始当初(1980年〜1983年)の両者の関係は伏せられていたわけですね。
もっともアニメ版のスポンサーをしたからといって、原作の作品中にノンクレで出していいのかって判断はあるけれど。
いまはステマについてはみんな過剰になりすぎていて、なんでもかんでもステマ扱いする傾向があります。それについてはぼくも辟易しているので、この「キン肉マン」のケースがステマに該当するかどうかについてはみなさんの判断に委ねます。
(これが「広告」なのかとか、いろいろ論点はあると思います)
ちょうどいまKindleで「キン肉マン」が期間限定無料キャンペーン中なので、ぜひ1巻だけでも読んでみてください。
キン肉マン【期間限定無料】 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: ゆでたまご
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/11/25
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
もっともステマかどうかに関係なく、やっぱり「キン肉マン」という作品はおもしろいので、2巻以降もきっと読んじゃうと思います。
とくに超人オリンピック編以降、敵がインフレしていくし、敵キャラが仲間になるし、死んだと思ってたキャラがじつは生きてるし、とにかく『ジャンプ』の王道パターンのすべてがつまっている名作です。
初期からのキャラであるテリーマンとの確執とか、王位継承とか、ストーリーもいま読んでもアツくなれます。
そして、作品をたっぷり堪能したあとで、ノンクレ広告やステマのなにがダメなのか、どうやってれば良かったのか、そもそも「キン肉マン」のケースはステマなのか、などについてちょっとだけ考えてみてもらえるとうれしいです。
で、もしよければそれについてちょっと話したいです。
そもそもステマの違法性はけっこう微妙だったりするので、断罪したいというよりは「当時は牧歌的だったよねえ」という話になっちゃいそうですけどね。それならそれでいいですし。
ただ、いまだからこそいい題材になるかもしれないなと思ったんですよね。
ステマやノンクレ広告が法よりも倫理に寄った話であるからこそ、どういうケースならアリなんだろうかと考えるきっかけになるんじゃないかなと。
[補足]
なぜ「まんがseek」じゃなくここに書いてるのかというと、ポジティブな内容ではないからです。
じつはこのテキストは「『キン肉マン』こそがプロダクトプレイスメントの元祖だ!」的な内容としてちょっと前に書きはじめてたんですが、原作を読み返したり、ゆでたまご先生の本を読んでるうちに「これはプロダクトプレイスメントとして褒めちぎるわけにいかないな」と当初思ってた内容にはなりませんでした。
ただ、大好きな「キン肉マン」を貶めるような内容かもしれないので公開を躊躇してました。そしたらちょうどKindleで無料キャンペーンがはじまったので、いっそみんなに読んでもらって是非の判断や感想を聞かせてもらいたいと思って今回公開しました。
ネイティブアドはじめました
ネイティブアドって言葉が出てきた当初は「記事広告となにがちがうんだ」ってぷんすかしてる人が多かったけど、いつのまにかネイティブアドは「見た目がそっくり(ネイティブ)な広告枠」って感じになっちゃって、記事広告の話はどこかに消えてしまった。インフィード型が悪いって話じゃないんですけどね。
一方でどっかで見た企画とカブってるものの、ホンダがヨッピーさんを起用して自社サイト内におもしろコンテンツを公開したりして、コンテンツは自社サイトに置いたほうがいいという流れができつつあるように感じます。SEO的にも有利だしね。
まあこれまでも企業はキャンペーンサイトやコンテンツをつくったところで、「どうやって見てもらうの?」という課題はなかなか解決されなかったわけです。
けっきょく「つづきはウェブで」や「○○で検索」という広告を出稿しなきゃサイトを訪問してもらえないというのは、お金の使い方としてはなんとももどかしいところですよね。
自社サイトのコンテンツに誘導する、という目的においてはべつにバナー広告でもAdSenseでもよかったんですけど、メディアの目次にそれっぽく並んでたほうがクリックされるだろうってことは容易に想像できます。
(そもそも広告ブロックの問題とかもあるし)
ちょっと前段が長すぎた。
というか今日はインフィード型の話でもないし、記事広告の話でもありません。
ネイティブアドにはいろんなパターンがあるということは当初から説明されてきたし、ぼくも異論はないんだけど、どうせならもっと新しいことをやりたいなあと思うわけです。
いや、正確にいうと、スポンサードとかタイアップとか、やってることは古いんだけど、それを現代の環境にあわせてアップデートして展開したいのです。
分類でいうと「カスタム型」に入るような広告商品を各メディアがもっといろいろ企画していけば楽しくなるなあと。ぼくがネイティブアドが出てきたときにテンションが上ったのは、そういうことができるんじゃないかと思ったからなので。
これを書いたのが一年以上前のことですけど、あれからも勉強会に参加させてもらったり、いろいろと考えてきました。
で、ようやく実践するチャンスをいただけたのでやってみました。
それがこれです。
攻城団はぼくが運営しているサイトです。
自分が訪問したお城の記録を管理できるようにしたくてつくりました。日本全国のお城が登録されていて、いつどこの城を攻めたのかがわかるようになっています。
また、ただ記録するだけじゃなく、次に攻めるお城を選ぶ際の参考にしてもらうために「バッジ」という仕組みを用意しています。
これはオンライン版のスタンプラリーみたいなもので、あるテーマに沿ってまとめられた複数のお城をすべてめぐると「バッジ」がもらえる、という仕組みです。
余談ですけど、これはぼくが2010年に考えた「コンテクストツーリズム」を実現するためにつくりました。もっとも、これはべつに新しい概念ではなくて「お遍路さん」などのように昔からやってることですね。
で、この「バッジ」を使ってキャンペーンをやろうと思ったわけです。
これを「タイアップバッジ」と呼んでますけど、今回のように本で紹介されたお城とか、ゲームに出てくるお城、ある県におけるお城ベスト10など、いろんなテーマでやれるんじゃないかなと考えています。
バッジが増えることは基本的にユーザーに歓迎されることだし、ユーザーが楽しむことでスポンサーとの心理的距離も近くなる、そして攻城団にとっても広告収入が入るだけじゃなく、ユーザーの活性度が上がることが予想できます。
つまり、みんなハッピーになる可能性があるんです。
こんなふうに誰かが犠牲になったり、誰かがガマンしなきゃいけない状況をうまく回避した広告商品を企画していきたいなと思ってます。
ネイティブアドならそれができるかもしれないので。
あといくつかアイデアはあるので、時期を見て(そしていっしょに取り組んでくださる相手が見つかれば)ひとつずつ実践していこうと思います!
もしみなさんのまわりにお城好きな人がいたら、攻城団のことを紹介してくださるとうれしいです。
Macでプレゼンする際の手順とおすすめのアプリ
ぼくはここ数年、MacBook Airで講演しています。
他の方が講演されてるのを見てると、デスクトップが丸見えだったりけっこう危ういなあと感じることがあったので、参考までにぼくがやってる手順と使ってるアプリを紹介します。
たぶん以下の手順を踏むことでまずトラブルなくスライド投影できるようになると思います(あとは内容次第!)。
おおまかな手順
ようするに、デスクトップをきれいな状態にしてからプロジェクターにつなぎましょうということと、プレゼン中にあわてなくてもいいように事前に対処しておきましょうという2点です。
そのデスクトップ、見えても大丈夫?
たとえばスティッキーズにパスワードとかが書かれたヤバいメモがあったり、デスクトップにクライアントの名前が入ったフォルダがあったりとか、投影されちゃマズいものをあらかじめ非表示にしておけばトラブルは回避できます。
講演専用のPCとかあればいいんだけど、ほとんどの人は(ぼくもそうだけど)いつも使ってるPCを会場に持っていくことになると思うので、デスクトップが丸見えになると危険ですよね。
で、デスクトップのファイルやフォルダを非表示にしてくれるのが「HiddenMe」ってアプリです。
これはほんと便利。
HiddenMe Free : Hide Desktop Icons
カテゴリ: ユーティリティ
価格: 無料
こんなふうにデスクトップ上のあれこれをぜんぶ消してくれます(もちろん非表示にしてるだけなので削除はされてないです)。
このアプリを知るまではスライドのファイルが入ったフォルダを開いて最大化して、デスクトップを隠してたんですけどもうその必要はありません。
最近、有料版が出たっぽいんですけど、ぼくは無料版を使いつづけてます。
(上記の用途なら無料版でなんの問題もないです)
あ、スティッキーズとかはふつうに終了させておいてください。
それからSlackとかDropboxの通知が表示されるのも恥ずかしいので事前に終了です。たまにGmailの通知が講演中に表示されてる人がいますけど、あれ見てるこっちがドキドキしますよね。
電源管理も忘れずに
もうひとつは電源管理。
コンセントをさした状態でプロジェクターにつなぐならいいんですけど、いまのノートPCはけっこうバッテリーが持つので(そしてACアダプターは重いので)、内臓バッテリーだけで講演することもあります。
(ぼくはいちおう持っていくんだけど、講演台のスペースの都合等でさせないことがけっこうあります)
で、そういうときに勝手に省電力モードが作動して画面が暗くなったり、スクリーンセーバーが起動したりするとマズいわけです。
それを防いでくれるのが「Caffeine」というアプリです。
Caffeine
カテゴリ: ユーティリティ
価格: 無料
カフェインってうまいこと名前つけたなあと思うけど、ようはMacを「寝かさない」アプリです。
これを起動しておけばスリープしませんので、講演中に同じスライドを表示したまま5分でも10分でも話しつづけることができます。脱線し放題です。
ちなみにこのアプリは講演にかぎらず、ふつうにリビングとかで作業してるときでも便利です。
トイレにいってる間にスリープしてるのを防げるので(まあバッテリー節約の観点からいうともったいないんだけど)。
ケーブルをつなぐ前に最後のチェック
講演台にMacを持っていき、用意されたケーブルを接続すると(あ、変換アダプターは忘れないようにしましょう)、その瞬間にデスクトップが投影されます。
つまりみんなに見られちゃうということです。講演開始前ってヒマなのでけっこうみんな見てますから、「これ見られてもいいんだっけ?」と最後の確認をしてからつなぎましょう。
ぼくの場合、だいたいこういう画面にしてから接続しています。
で、接続したらF5を押してプレゼンモードにします。
事前にスライドを印刷した資料が配布される場合はこういう画面でもいいんですけど、資料配布がないときに後ろのスライドが見えちゃうのはネタバレになって話しづらい(というかウケが悪くなる)ので表紙だけのほうがいいと思います。
終わり
プレゼンとかセミナーとか、人前で話すのってほんと大変ですよね。
「慣れが大事」とかいうけど(それはそのとおりだと経験的にも思うけど)いまだに緊張するし、毎回講演の翌日はぐったりしています。
で、とにかく話すことに注力できるように、それ以外のことはルーチン化したり、フォーマットを決めていくのがいいと思います。
そして不測の事態をなるだけ起こさないように、うまく今回紹介したアプリとかを使ってください。
スライドづくりとかもできるだけフォーマットやパターンを決めておくと、つくるときも話すときもリズムが生まれるし、聞いてるほうも理解しやすいのでオススメです。
これについて書くとまた長くなるので、またリクエストと機会があれば。
質の高い記事を書いて、何度でもSNSに投稿する作戦
1日10本ブログ書けとか、本数は少なくてもいいから質の高い記事を書けとか、いろんなアドバイスがあるけど、正解あるいは最適解ってあるんだろうか。
コンテンツマーケティングにおいてはたぶん冒頭の2つは部分的にはいずれも正解なんだけど、
- ブログには質の高い記事を書く
- ソーシャルメディアにはTPOにあわせて同じ記事を何度でも投稿する
というのがいいんじゃないかと思った。
具体的に話すと、たとえば「攻城団」で「花見にオススメのお城」って記事を書いたとして(書いてあるんだけど)、これを毎年ツイッターやFacebookに投稿すればいい。
必要なら多少は修正するけど、まったくしなくてもいい。
そう考えると「質の高い」というあやふやな基準も「今後何度も使いまわせる」と解釈すればすごくわかりやすくなる。
つまり普遍性があるとか、本質的とかそういう意味になる。
花見関連だとほかにもこういう記事とか、たぶん何回でも投稿できそうですよね。
仮にこういう体制が取れれば、「質の高い記事を書く人」と「ニュースなどにあわせて過去記事をSNSに投稿する人」は別の人でよくなるし、むしろここは積極的に分業していったほうがいい。で、そうすると過去記事をサルベージしやすいようなCMSがほしくなるわけだよね。
タグやカテゴリで管理すればいいのかっていうと、なんかもうひとつアイデアがほしい気もする。
分業が進めば自分が書いてない記事を拡散しなきゃいけなくなるので記憶に頼るのもむずかしいし。Evernoteとかで関連のノートが表示されるけど、ああいう仕組みでうまく文脈を読み取って過去記事から投稿候補をピックアップしてくれるようなのがあるといいですね。こういうのを意識してやってる人がいたら手応えとか教えてください。
(あとどうやって過去記事をサルベージしてるのか知りたいです)
ソーシャルメディアへの投稿にひと手間かけるべきか(これからのCMSへの要望)
企業のオウンドメディアの大半はブログを使っていると思いますが、じっさいにはたんにブログに投稿するだけでなく、ツイッターやFacebookなどにも更新通知を投稿していますよね。
それを「どのような方法で」おこなっているのか、おこなうのがいいのかということを考えてみました。
全自動か半自動か手動か
作業は少ないほどいいし、全自動がいいに決まってるんだけど、それは「得られるものが変わらないのであれば」という前提の話であって、なにかを失うのであればそれが妥協できるものかどうかをしっかり見極める必要があります。
いまつくってる「まんがseek」というサイトでこの問題に直面したので、ちょっと書いておこうと思いました。
結論としては「全自動にするために、最初にちょっとがんばった」という話です。
ソーシャルメディアへの投稿方法はいくつかあります。
とくにブログベースのCMSであれば、RSSを生成しているのでこれを使ってIFTTTやZapierなどをつかって自動化している企業が多いと思います。
あるいはWordPressなどであればプラグインを使うこともありますし、ブログASP側で連携機能を提供してくれていることもあります。
こういうのを使うこと自体は楽ちんでいいんだけど、投稿内容をほとんどカスタマイズできないんですよね。
これが悩ましいなと思ったんです。
なにが不満かというと、本文をカスタマイズできないんです。
たとえば本文中にリンクがある場合、そのままRSS連携で投稿してもリンクは切れてしまいます(テキスト化されるため)。
<a href=“http://example.com”>リンク</a>
とあったらFacebookに投稿する際は
と展開してほしいわけです。そしたらクリックできるから。
ほかにも見出しタグなどを使用しているのであれば(当然、デザイン的にも読みやすくするためにそうしたマークアップを行うわけなので)、適切に行頭に「☆」をつけたり、罫線ではさむなりして目立たせるようにしたいです。
しょうがないから自作した
そこまで細かく本文を変換できるサービスは探したかぎり、見つけられませんでした。
なので自分でつくったんだけど、こんな感じで投稿内容をカスタマイズしています。
これがツイッター。シンプルにテキストとURLだけ。
まんがseek (@mangaseek) | Twitter
そしてこれが元の投稿(tumblr)というかオリジナルのHTMLです。
最初の引用部分のパーツははてなブログカードを使わせてもらってます(すごく助かってます)。
入力側は共通で、それを配信先ごとにテンプレートをわけて生成して投稿しています。
(ちなみにツイッターとFacebookはAPIを使ったけど、TumblrはHTMLメールを送るだけで投稿できるから超簡単でした)
これからのCMSへの要望
こうしたカスタマイズによってリンククリックやシェア・リツイートなどのリアクション率がどのくらい変わるのかはわからないんだけど、最初にしっかり仕組みをつくっておけば投稿時の負荷が増えるわけではないのでできればやったほうがいいように思います。
最近、Bufferもよく使ってるんだけど、あれは明確に入力欄をわけていて、(きっと彼らは調査もしてるだろうから)コピペかカスタマイズかでそれなりに有意な差が出てるんじゃないかなと。
BuzzFeedのCMSにはタイトル案を20個くらい入れられて、それを自動的にA/Bテストをして最適なものを選ぶ機能があるそうだけど、これからのCMSにはこういう機能が求められてるような気もするんですよね。
(これもつくりたかったけど、カウントしたりいろいろ大変そうだから今回は諦めた)
Movable TypeやWordPressなど、いま普及してるCMSってもう10年以上開発がつづいていて、機能的には十分すぎるような気もする反面、配信側についてはまだまだ改善の余地があるのかもしれませんね。
なぜ最愛を目指すべきなのか(最愛バイパスについて)
これをテーマにした講演は2011年の夏に最初にやってから、かれこれ10回をこえています。20回くらい話したかも。
その間、アップデートを繰り返したスライドも100ページ近くにまでふくれあがりました。他の方の講演などで引用いただいたという話もちらほら聞いています(ほんとうにありがとうございます!)。
そんなこんなで5年以上、考えつづけているテーマですが、いまだに発見もあります。
今回もひさしぶりにアップデートしました。
第4回コンテンツツーリズム学会・シンポジウムに参加してきました
昨日は法政大学新見附校舎でおこなわれた第4回コンテンツツーリズム学会・シンポジウムに参加してきました。
シンポジウムって名前のついたイベントに参加したのははじめてなんだけど、こういう場所にいくだけで賢くなった気分がしますね。かんちがいだけど。
ちなみにシンポジウム(symposium)というのは「研究発表会」「討論会」という意味らしいです。
参加者はだいたい50〜60人くらいでした。
大学関係者(教授とか学生とか)と行政の人で半分弱くらい、残りは企業の人(旅行会社、鉄道会社など)で、ぼくみたいに個人で参加してるのはほとんどいなかったみたいです。
コンテンツツーリズムというのは、最後の安田先生のあいさつによれば「定義はない」らしいのですが、いちおう一般的には「アニメやドラマなどのコンテンツをフックに、観光客を誘致し集客促進すること」をさしています。
アニメファンの「聖地巡礼」と呼ばれてる舞台になった場所めぐり――有名なのは「らき☆すた」に登場する鷲宮神社ですね――などがいちばんわかりやすいコンテンツツーリズムです。
以下、発表内容のサマリーなど。
【基調講演】「国際共同ドラマ制作と地域発信」
新鞍 トシヤ((株)Journal Entertainment Tribute 代表取締役)
タイのドラマのロケ地選定を仲介した際の話をされてました。最近はフィルム・コミッションが各地にできていて国内外のドラマや映画のロケに協力的な自治体も増えていますが、海外のドラマに登場することでインバウンド観光を促進する可能性があると。
タイでは「九州」自体の知名度が低いので、福岡県や熊本県など県別でPRせずにまずは「九州」ブランドをアピールしていくという話はなるほどなあと思ったものの、観光エリアとして大きすぎるので現実的にはむしろ抽象的すぎてわかりづらくさせちゃってるかもしれないなあと思ったり。
でもじっさいにタイからの観光客は増えてるそうなので、やっぱりドラマのロケ地になるというのは一定の効果があるんですね。
【研究発表】「『パワースポット社寺』参詣の研究」
内川 久美子(法政大学大学院 政策創造研究科 博士後期課程/法政大学地域創造システム研究所 特任研究員)
「パワースポット」はいまやブームどころかすっかり定着しましたが、2010年くらいからはじまってます。
発表ではふれられてなかったけど、江原さんがテレビに出てた時期と重なるし、あとは風水ブームなども影響してそう。あとでふれますが、パワースポット観光は一箇所じゃなく複数のスポットをめぐることになるので、コンテクスト性が強いですよね。伊勢神宮、出雲大社、明治神宮とか、あと箱根の九頭龍神社とか、全国のパワースポットをまわってる人とかけっこういそうだし。
【研究発表】「『ニューツーリズム』時代の観光マナー」
家長 千恵子(法政大学大学院地域創造システム研究所 特任研究員)
従来の物見遊山的な団体旅行から個人が自由に旅行する時代になり、より観光地の生活圏に踏み入る体験型の観光プランが増えたため、その弊害として観光客のマナーが問題化してるんじゃないかという話でした。
事例としては築地市場があげられてましたが、こうした観光客を受け入れることを目的としていない場所に観光ニーズが生まれていて、そこにモラルの低い人や文化的な前提を共有していない外国人を招き入れてしまうことで、深刻な問題になるというのは全国的に起こっています。
こうした問題は観光客がルールを「知らない」ことに起因していて、周知徹底できれば抑制できるんじゃないかという仮説は正しいと思いつつ、モラルの問題は残るなと思いました。
【研究発表】「エヴァンゲリオンのキャラクター商品の開発と販売」
板津 啓二(株式会社ナガトヤ 営業推進部企画次長兼東京事業所長)
全国の観光地やSA/PAなどで販売されているおみやげをつくっている長登屋の方の話で、その地域限定の、地域とコンテンツをうまく関連づけた商品開発をすることの重要性を話されてました。
エヴァと箱根湯本で「第3新東京市に行ってきました」とか。東京ワンピースタワーの「悪魔の実グミ」とか。
これがコンテンツツーリズムなのかというと微妙だけど、まあ地域限定のおみやげを買いに旅行する人もいるとは思うので、いいのかな。
思ったこと
コンテンツツーリズムについては前にこういうことを書いてます。
もちろん0を1にできるというのは素晴らしいことで、とくに「すでにあるコンテンツ」の有効活用としてはいいと思うんですけどね。
毎年、大河ドラマの経済効果が発表されてますが、前に調べたときには翌年以降は元通りになっていて、そういう刹那的な需要増ではせっかく雇った人をすぐ解雇しなきゃいけなくなるとか、トイレや休憩所などつくった施設もムダになるとか、とても効率が悪いです。
(もっともオリンピックのように短期間でも十分儲かるからと一気に建設して、終了後に解体するという話もあるんですけどね)
ぼくとしてはコンテンツツーリズムの効果を認めつつも、それを少しでも持続させるようにそれらをつなぐ「コンテクスト」に焦点をあわせた施策を考えたいんですよね。
そうすることで競争相手だった自治体同士が、統一したコンテクストをPRするパートナーになれるし、観光客を奪い合うのではなく相互に送客しあえる間柄になれる。
それとマナーの問題はほんとにどうにかしないといけないですよね。
竹田城にいったときも立入禁止区域に入る若者や、国史跡は火気厳禁なのに喫煙するおじさんはぼくも何度も見ました。監視を強化するのも限界があるし、たぶんそっちにいっちゃうと見学ルート制限とかどんどん残念な方向に進んじゃうので、なんとかマナーやモラルのところで解決したいものです。
JALのCMで使われていた北海道の「嵐の木」も観光客(まあ嵐のファンだよね)のマナーがひどくてゴミの投棄とか畑に踏み入るとかが頻発して、地権者が木を増やしちゃったという話がありましたが(5本じゃなく7本にしちゃったらしい)、こういうのはほんとに残念です。
あとこれはコンテンツツーリズムの短所でもあるんだけど、観光客はコンテンツに興味があるだけで、その地域自体を大事にしようという気持ちが薄いので問題行動を起こしやすいんですよね。
「旅の恥はかき捨て」なんて言葉がありますが、「嵐の木」を見に行った人は二度と訪問しないから平気で悪いことしちゃう。
こういうのをちゃんとコミュニケーションデザインとか行動心理学的なアプローチからも対策を講じて、その知見をシェアしていけるといいですね。
人見知りなぼくにはアウェイ感満載だったんですけど、こうやっていろんな方が取り組まれていることの話を聞くと、刺激になっていいですね。
ちなみに参加費は無料だったので、会場で販売されてたこの本を購入しました。
あと、この2冊は前に読みましたがおもしろかったです。コンテンツツーリズムに興味をもった人にはオススメできます。
n次創作観光 アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性
- 作者: 岡本健
- 出版社/メーカー: NPO法人北海道冒険芸術出版
- 発売日: 2013/02/15
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
バーティカルメディアとネイティブアドの可能性(セミナーレポート)
昨日は「宣伝会議インターネットフォーラム2015」に参加してきました。
関東に住んでたときはほぼ毎年来てたんですけど、ずいぶんひさしぶりな感じがします。
いくつかセッションを受講したんですが、ネイティブアドのセッションがあったのでフォトレポート*1でご紹介。
ジャンル特化型メディアで広がる、DeNAのネイティブアド
~鋭いコンテンツ訴求でユーザーの心をつかみましょう~
株式会社ディー・エヌ・エー
渉外統括本部広告ビジネス部 部長 長村 禎庸 氏
まず最初にDeNAが定義するネイティブアドについての話がありました。
「ネイティヴアドとは、広告がコンテンツになった状態」という定義とおっしゃっていて、上記のスライドにあるように、その広告=コンテンツをメディアと広告主がいっしょにつくるんだということなんですが、これって「ネイティブ」のニュアンスが消えちゃってると思うんですよね。
こないだLINEの谷口さんのセミナーでは、「見た目のネイティブ」と「中身(内容)のネイティブ」とわけて話されていて、ようするにインフィード型のように上下の通常コンテンツと同じデザインで表示される広告「枠」だったり、旧来の記事広告のようにコンテンツ自体がほかのコンテンツと同じような構成になってたりするネイティブアドをわりと的確に分類されてるなあと思ったんですけど(NAVERスポンサードまとめのように両方を満たしてる広告もあります)、たぶんDeNAでは後者の記事広告型(スポンサードポスト)しかやってないので、「広告がコンテンツになった状態」と定義しているんでしょうね。
余談ですけど、「ユーザーが喜ぶ」とか「おもしろい」というのはネイティブアドの定義にはなんの関係もないとぼくは思っていて、それはあくまでも「より多くの人に届けるための手段であり手法」であって、おもしろくなかったらネイティブアドじゃないかというとそんなことはないと思うわけです。
(手法なのでバズらせるためにわざと「喜ばない」のをつくることだってあるかもしれませんよね)
このへんの定義論は話が尽きないわりにはたいしておもしろくないのでここで止めておきます。
このセッションの話題は「Palette(DeNAパレット)」の紹介で、ようするにバーティカルメディアのほうが読者がはっきりしているので、しっかりアピールできるし購買などの行動につなげることもできますよ、という話でした。
いわゆる「枠から人へ」論のコンテキストで、ここはぼくも同意見で、より正確には「枠から人々へ」と呼べる程度のボリュームに対して、広告を届けていけるというのはもっともっと評価されるべきで、そこでいろんな施策にチャレンジして深堀りしたいなあと思います。
ちなみにDeNAではこんな感じで、年齢・性別ほぼ全方位をカバレッジしているとおっしゃってました。
まあこういうマトリクスを出しちゃうと、Yahoo!のがすごいってなるんだけど、各メディアごとに異なる切り口で記事広告をつくっているそうです。
ここは昨日聞いてて「まっとうだなあ」と感じたところですね。
実例としてAirbnbの事例が紹介されてました。MERY、iemo、Findtravel、それぞれで独自の切り口で紹介しています。
まあじっさいのところは複数メディアに掲載できる広告主は(商材的にも予算的にもハードルが高いので)少ないと思うんですけど、こうやって多面的・立体的に魅力を伝えていく企画を考えるのは楽しいだろうなあ。
バーティカルメディアでのネイティブアドには次の5つの可能性(使いどころ)があるそうです。
- イメージチェンジをせまる
- 具体的な利用シーンに自分を重ねてもらう
- 世界観にひたってもらう
- 価値の翻訳
- アクションをうながす
たぶんこのへんの売り文句って女性誌や専門誌でよく見られる項目ですね。
ネイティブアドの効果測定についてはほんとに悩ましくて、ブランディングとかエンゲージメントとか数値化しづらいもの(あるいは中長期的にしか測りようがないもの)を軽視しちゃいけないとは感じつつ、直近の売上や来店などを無視するわけにもいかないので、アクションをうながす部分は大事ですね。
(ま、まったくアクションにつながらない広告がブランディングにだけ貢献できるとは思えないけどね)
DeNAの場合はキュレーション(=まとめ)系のメディアが中心ですけど、これが編集長や編集部員、あるいは専属モデルなどがもっと前面に出るメディアなら、よりアクションにつなげることもできると思います。
(とはいえ、閲覧者のボリュームではキュレーション系のが多くなるでしょうから、実数ベースではあまり変わらないかも)
さらにPaletteというプラットフォーム間で相互送客できるのも強みだとおっしゃってました。
このへんはOutbrainやpopIn Discoveryなどを利用すれば擬似的にできなくもないのですが、記事本文中で相互リンクできたりするのは同じ会社で運営するからこそのメリットかもしれませんね(じっさいにやってるかは知らないけど)。
個人的にはネイティブアドというのは、読者を理解し、読者から信頼を得たメディアが、これまでの関係性の中で、全責任を背負って届ける広告、だと定義しているので、その点ではバーティカルメディアのほうが向いているはずだと思うんですよね。
(余談ですが、読者を理解するもっとも簡単な方法は、自分が読者代表になる=自分が読みたいコンテンツを載せる、です)
あとはバーティカルメディアのネットワークを事業者間でつくっていく動きが今後増えていきそうな気がします。
「Syn.alliance(シンドットアライアンス)」のように資本的な結びつきがなくても、広告商品レベルで組んでいけると思うし、過去のバナーネットワークと同じだと思えばそんなにむずかしくなさそうですしね。あるいは広告主側で勝手に作っちゃうってのも出てくるかも。複数のメディアのネイティブアドを購入して、その記事間でリンクしちゃうとか。自社サイトにハブとなるページを用意してもいいでしょうしね。
けっきょくコンテンツマーケティングというのは「誰に」「どうやって」届けるのかというディストリビューションの部分が課題で、そのためにオウンドメディアを育てたりソーシャルメディアのフォロワーを増やしたりするんですけど、それらはあくまでも手段のひとつにすぎないので(もちろんコスト効率の面で中長期的にはメリットがあるんですが)、短期的にはネイティブアドとかをうまく使っていったほうがいいんじゃないかなと思います。
最近はソーシャルメディアで影響力を持っているライターを指名する企業も増えてますが、これも目論見は同じですよね。
(まあ拡散まで求められるライターさんはなんとも不憫だと思うけど)
いろんなメディアを抱えてるって点ではイードとかもあるし、それこそインプレスのように長年バーティカルメディアを複数運営してきている企業もあるので、これからおもしろい動きが出てくるかもしれませんね。
[以下余談]
ちなみに、こんな感じでMAUが発表されるわけですけど、こないだ書いたようにいまのご時世、アプリ内ブラウザ(WebView)が重複カウントされてるわけですから、じっさいにはこの何分の一でしかないってことはわかっとかないといけないかなと。
*1:最近は録音・録画はNGだけど撮影はオッケーなイベントが増えましたね。ほんとにありがたいことです。もっともパシャパシャとうるさい人も多いんだけど、無音カメラアプリとか知らないのかな
正確なユーザー数を知る方法はもうないのか(ユーザー数の水増され問題)
- アプリ内ブラウザは独立したアクセスとなるため、訪問者数がじっさいより多く出てしまう
- その反面、ユーザーあたりのPV数などは小さくなってしまう(セッション単位では正しい)
前からべつに正確ではなかった
メディア運営者も事実が知りたいはず
とりあえずおさえておくべき事実
インディーズ・ウェブメディア情報交換会をしませんか
趣味であれ、道楽であれ、あるいはいつかはそれで食っていくという野望があるにせよ、仕事の合間に開発して運営するインディーズ・ウェブメディアはけっこう個々人でいろんな創意工夫をしているはずで、そういう情報交換をする機会って、聞かれることもほとんどないのであんまり表に出てこないですよね。
「囲い込まない」マーケティング(Amazonペイメント良さげだね)
いよいよ日本でもはじまったAmazonペイメント(正確にはAmazonログイン&ペイメント)。
- Amazon Payment
- 楽天決済
- Y!決済
- Apple Pay
- Google checkout
- LINE Pay
写真は撮れなかったんですけど、フューチャーショップさんがカゴ落ち率(カート放棄率、カートに入れたけど買わずに離脱した人の割合)が7割もあるとおっしゃってて、そんなにあるのかと思いつつ、スマホの場合はいったりきたりが面倒なので、ブックマーク代わりにカートに入れたりするから比率はどうしても高くなるよねと思った。
ぼくもこないだゾゾタウンで買ったとき、まさに気になった商品をとりあえずカートにどかどか入れたから。
ネイティブアドの広告表記に「PR」はアリなのかナシなのか
電通パブリックリレーションズの細川さん(WOMマーケティング協議会事務局長もなさってます)がITmedia マーケティングに書かれている記事で、ネイティブアドの広告表記で「PR」はないんじゃないのと書かれてます。
まったくそのとおりで、ぼくも「広告」「AD」と「PR」が並列に置かれるのはしっくりこないと思ってました。
ほかにも紙メディアでよく見るのが「提供」や「協力」というクレジットですかね。このへんも「あわよくばやりすごそう」という不誠実なにおいがする。
ようするにお金を主とした(お金以外の利益供与のこともあるから限定しない書き方をしますけど基本的には広告費のことです)やり取りがあることを示すのが広告表示で、同時にそれはただ書けばいいってもんじゃなく、読者にわかるように伝えなきゃいけないわけですから、そこに「気づかれなきゃラッキー」的な発想は含まれちゃいけない。
このへん、そのうち整理したいなと思ってたところです。
文句なしにOKな表示 | 「広告」「AD」「広告企画」 |
---|---|
判断がわかれそうな表示 | 「提供」「タイアップ」 |
微妙で不誠実な表示 | 「PR」「協力」「コラボ記事」「企画」 |
「広告」って入ってたら見てもらえなくなる、ネガティブなバイアスがかかってしまう、という危惧はよくわかるんですけど、見た目がほかのコンテンツと区別しづらいネイティブアドでそれやっちゃったら致命的だと思うんですよね。
ぼくは広告のチカラを信じたいし、広告費がまわるからつくれるクオリティのコンテンツがあると思うし、そういうのは読みたいけどなあ。
コンテンツ内に自社の宣伝色を抑え、本来の意味での「スポンサード」をしたら(「世界の車窓から」と富士通みたいに)、その企業の好意度はきっと上がるはずです。
もちろん間接的になるので広告主側の評価がむずかしくなるんだけどね。
そもそも「PR」にしたからといって閲覧者数や読了率が大きく変わるとは思えないんだけど、ここはぜひ調査してもらいたいところ。
ネイティブアドの評価指標で重視するのはブランドリフト、クリックスルー、ソーシャルメディアでの拡散
支持率の数値化(最愛戦略の指標選びとしてのNPS)
ぶっちゃけ支持率の数値化はむずかしい
- 訪問頻度が高いほど支持率は高いといえるのか
- その場合、何回以上訪問すると「支持者」と捉えていいのか
- 毎日訪問するけど、一度も購入したことがない人をどう評価すべきか
NPSがあったっけ
Repurchase(再購入)初回の購入にとどまらず再度購入してくれる、あるいは購入してくれる頻度が高まる。Buy additional lines(一度に買う量が増えること)例えば、オプション製品の購入やアップセルにつながりやすい。Refer others(クチコミ)推奨者が「いいよ」と勧めれば買う気になり、批判者が「よくない」というと買う気がなくなる。近年、ソーシャルメディアの台頭によって、より重視されるようになってきている。Provide constructive feedback(高い価値を感じている、推奨者からの建設的なフィードバック)プロダクト開発やサービス改善にも応用できる。また、働いている人たちのモチベーション向上にもつながり、組織全体をパワーアップさせる。
まさに、ですね。
正しい母集団に正しく調査する、という前提を守ればNPSは支持率を測る指標として十分使えるんじゃないかと思いました。
ネイティブアドのKPIはシェア数でいいのか(広告の目的と効果指標)
昨日書いたイベントレポートへの反響を読んでて。
(こんなふうに反応をいただくのは牧歌的な時代のブログみたいでうれしい)
これが大事と言われればそうだろうと思うけれど、これって、広告の作品化の亜種ではないか?
「賞を取るような広告より売れる広告を!」的な事を聴くことがあるが、そのうち「バズる広告より売れる広告を」なんて言われるようになるのかしらん。
「バズる」ことが目的化しちゃったときに広告の役割や効果はどうなるんだって懸念は生まれて当然だし、ぼく自身かなり強く感じてます。
「広告の作品化」についてはもう何年も前から議論されてますし、ぼくのスタンスとしてもむかしブログに書いたけど、広告を作品と呼んだり、賞をとることが目的化しちゃうことに対してはめちゃくちゃ懐疑的です。
ただあれから年月を経て、ちょっとだけ考えをあらためたところがあるとすれば、広告の目的には直接的な売上アップだけじゃなく、いろいろあるということを踏まえるべきで、そのいくつかある目的のひとつとして「広告賞を受賞する」ということもあるんだろうということです。
広告の目的にはもちろん認知拡大や、興味・需要喚起など直接的な売り上げ貢献があり、いうまでもなくこれが主流です。
ただ、たとえば購入者満足度を高める(自分の選択がまちがってなかったと実感してもらう)ためのロイヤルティ向上を目的とした広告や、流通対策(コンビニ等での棚を確保するため)の間接的な売り上げ貢献(営業支援)も目的とした広告もあります。
UNIQLOCKを思い出した
数年前にユニクロがUNIQLOCKってブログパーツを提供したんですけど、最初から広告賞を狙って企画したって話を聞きました。
かいつまんでいうと、クリックとかコンバージョン以外の目的(ありていにいうと「ブランディング」)でネット上でマーケティング施策をするのはなかなかむずかしいので、ひとつの成果や象徴として狙ったと。
これっていまのコンテンツマーケティングやネイティブ広告を検討しているマーケターが置かれている状況に近いと思うんですよね。
つか、UNIQLOCK、まだ動いてるんだね。すごいや。
いまだに動いてるブログパーツってあとは和田アキ子のやつくらいじゃないかな。
(リンク先は音が鳴るので注意)
それはさておき。
ある意味ではこれは「方便」なんだと思います。
だけど、正論だけで突破できないときに、こうした「わかりやすい数字」をもって社内を説得していくのは大事な対処だなとも思うのです。
なので、こうした反応が起こるのは当然だと思うし、これが正しいKPIなのかについては今後も考えつづけなきゃいけないと思うんですよね。
シェアされるかされないかは広告効果の過程の一つであって、それは究極の目的でもなんでもなく「だからなに?」にしか過ぎないことに早く気が付いた方がいいと思うのだが。。話題になることも過程の一つであって、それを目的にするのはKPI設定としていかがなものかと思うわけで。
— Steps-What Was (@StepsWhatWas) 2015, 4月 14
もちろん繰り返しになるけど、シェア数が目的になっちゃいけないです。
ただ、広告賞よりシェア数のほうが売上との相関が強い数字だと思うので、この数年でより望ましい状況に近づいたといえなくもないですよね。
目的があってのKPIだから、そもそも目的のバリエーションが複数ある以上、単一の指標で評価できるわけなくて、でもある程度はパターン化できるなら、汎用的な指標をつくっていくことは不可能なことじゃないと思うんですよね。
それは広告とかマーケティングの本来の効果や目的、あるいは意義について問い直すきっかけにもなりますしね。
UNIQLOCKについての話はこのときね。若いな。