ネイティブアドのKPIはシェア数でいいのか(広告の目的と効果指標)
昨日書いたイベントレポートへの反響を読んでて。
(こんなふうに反応をいただくのは牧歌的な時代のブログみたいでうれしい)
これが大事と言われればそうだろうと思うけれど、これって、広告の作品化の亜種ではないか?
「賞を取るような広告より売れる広告を!」的な事を聴くことがあるが、そのうち「バズる広告より売れる広告を」なんて言われるようになるのかしらん。
「バズる」ことが目的化しちゃったときに広告の役割や効果はどうなるんだって懸念は生まれて当然だし、ぼく自身かなり強く感じてます。
「広告の作品化」についてはもう何年も前から議論されてますし、ぼくのスタンスとしてもむかしブログに書いたけど、広告を作品と呼んだり、賞をとることが目的化しちゃうことに対してはめちゃくちゃ懐疑的です。
ただあれから年月を経て、ちょっとだけ考えをあらためたところがあるとすれば、広告の目的には直接的な売上アップだけじゃなく、いろいろあるということを踏まえるべきで、そのいくつかある目的のひとつとして「広告賞を受賞する」ということもあるんだろうということです。
広告の目的にはもちろん認知拡大や、興味・需要喚起など直接的な売り上げ貢献があり、いうまでもなくこれが主流です。
ただ、たとえば購入者満足度を高める(自分の選択がまちがってなかったと実感してもらう)ためのロイヤルティ向上を目的とした広告や、流通対策(コンビニ等での棚を確保するため)の間接的な売り上げ貢献(営業支援)も目的とした広告もあります。
UNIQLOCKを思い出した
数年前にユニクロがUNIQLOCKってブログパーツを提供したんですけど、最初から広告賞を狙って企画したって話を聞きました。
かいつまんでいうと、クリックとかコンバージョン以外の目的(ありていにいうと「ブランディング」)でネット上でマーケティング施策をするのはなかなかむずかしいので、ひとつの成果や象徴として狙ったと。
これっていまのコンテンツマーケティングやネイティブ広告を検討しているマーケターが置かれている状況に近いと思うんですよね。
つか、UNIQLOCK、まだ動いてるんだね。すごいや。
いまだに動いてるブログパーツってあとは和田アキ子のやつくらいじゃないかな。
(リンク先は音が鳴るので注意)
それはさておき。
ある意味ではこれは「方便」なんだと思います。
だけど、正論だけで突破できないときに、こうした「わかりやすい数字」をもって社内を説得していくのは大事な対処だなとも思うのです。
なので、こうした反応が起こるのは当然だと思うし、これが正しいKPIなのかについては今後も考えつづけなきゃいけないと思うんですよね。
シェアされるかされないかは広告効果の過程の一つであって、それは究極の目的でもなんでもなく「だからなに?」にしか過ぎないことに早く気が付いた方がいいと思うのだが。。話題になることも過程の一つであって、それを目的にするのはKPI設定としていかがなものかと思うわけで。
— Steps-What Was (@StepsWhatWas) 2015, 4月 14
もちろん繰り返しになるけど、シェア数が目的になっちゃいけないです。
ただ、広告賞よりシェア数のほうが売上との相関が強い数字だと思うので、この数年でより望ましい状況に近づいたといえなくもないですよね。
目的があってのKPIだから、そもそも目的のバリエーションが複数ある以上、単一の指標で評価できるわけなくて、でもある程度はパターン化できるなら、汎用的な指標をつくっていくことは不可能なことじゃないと思うんですよね。
それは広告とかマーケティングの本来の効果や目的、あるいは意義について問い直すきっかけにもなりますしね。
UNIQLOCKについての話はこのときね。若いな。