いまさっき思ったこと

あとで読み返したときになにかが生まれるかもしれないし、生まれないかもしれないけど、それはそれでいい

「めんどくさい」と「ウザい」の間

「人類最大にして最強の敵はめんどくさい」という誰もが納得する名言が登場したのは古谷実先生の作品「グリーンヒル」ですが、基本的に人類はこの「めんどくさい」に抗うためにいろんな発明をしてきたわけです。
テレビにリモコンがなかった時代を知らない世代も増えていますが、昭和の人たちはチャンネルを変えるためにわざわざテレビに近づいてたんですよ。いまやAT限定免許の所有率が過半数を超えてるそうですが、マニュアル車は骨董品的な扱いになっていくでしょうね。
 
ウェブの世界においても常に「めんどくさい」の解消が変化や進化のきっかけでした。
この5年くらいの間に起きていることは「いかにタップ(クリック)しないで見続けられるか」というものが中心で、Pinterestやツイッターのタイムラインなどの無限スクロールもそうだし、Instagramなどの「ストーリー」もそう。自動で、勝手に流れ続ける。
 
これはスマホがメインの端末になったからというのが大きいですね。*1
文字入力もめんどくさいし、「次のページ」をタップするのもめんどくさい。だからユーザビリティ向上の一環で自動化はおこなわれ、また歓迎されています。YouTubeの自動再生もいまでは必須機能となっています(あれ当初は反発もあったよね)。
 
でもこの流れは確実に揺り戻しがくるのもわかっています。
なぜなら自動化するにはユーザー心理の深い理解が重要で、要するに「本来ユーザーが取ったであろう行動」を予測し、その的中率が高いから歓迎されるわけで、とんちんかんな先回りはただのおせっかいでしかないから。「おもてなし」の議論と同じですね。
また歪んだマーケティングの世界では自動化にあわせて広告を半強制的に見せようとします。インフィード広告と呼ばれる手法で、まるでコンテンツの一部であるかのように擬態させて画面を専有しようとします。
 
こうしたおせっかいや押し売りが「必要悪」としてユーザーに黙殺されるのか、自動化のメリットを上回って「ウザいから自分で選んだほうがマシ」ということになるのか。
もし仮に歓迎される自動化を実現しつづけることができればユーザーの滞在時間は伸びまくるし(離脱のスキがないので)、みんなそこを目指してるんだろうけど、どこが勝利するんでしょうね。
いずれにせよ可処分時間の奪い合いが激化してるのはまちがいないし、支持を集めたサービスが総取りしていくのもまちがいなさそうなので、ユーザーがなにをめんどくさいと感じ、どこまでやればウザくなるのかを理解することが超重要だと思う(それはけっして機械学習とかビッグデータの話ではなく、むしろ運営ポリシーの話かな)。
 
どうでもいいけど、「グリーンヒル」は最高だからみんな読んだほうがいい。

*1:これがマウスとキーボードが主流だった頃だと「勝手に進めるな」とか「ユーザーに主導権を」と反発されたはず。Googleの「I'm Feeling Lucky」を押したことのある人ってどのくらいいるんだろう。

おもしろき こともなき世を おもしろく すみなしものは 心なりけり