ぼくらはいつまでログインにメールアドレスを使うのか
少し前にAmazonがメールアドレスなしでも登録・購入できるようにしたという記事がありましたが、たしかにLINEなどのメッセンジャー系アプリの利用が増えて、相対的にメールの利用頻度が下がっている中で、いつまでメールアドレスをログインキーに使うのかという課題はありますね。
そもそも迷惑メールが増える中、過度なスパムフィルタの設定によりサービス運営者からのメールが届かないケースが頻出しているのも無視できません。
くわえてメールアドレスって迷惑メール対策だけじゃなく、MNPなどのタイミングでも変わるので(でもサービス側にはなかなか変更を教えてもらえない)、最初は届いてたけど、ある日いきなり届かなくなっちゃうこともありますね。
ソーシャルメディアでの情報受信がわりと一般的になったいま、メールマガジンやメールニュースといったメールによる企業からのお知らせは極論なくしてもいいんだけど(もちろんマーケティング的な観点でいえば、「確実に届く」ことを前提にするなら、ソーシャルメディアよりもはるかに効果的で有用な手段ですけどね)、問題となるのはパスワードの再発行だったり、メンテナンス等によるサービス停止のお知らせだったりをどうやって伝えるかです。
アプリを配布してアプリ経由でやるか、ツイッターのDMやLINE@などをつかってやるか、検討に値する手段はいくつか思い浮かびますが、幅広い年齢層を対象にするとなると、どれも全ユーザーをカバーしきれないので採用には至りません。
(たとえばスマホを持ってないユーザーもいますよね)
このように「メールは届かないことがある(それは昔より増えている)」ということと、とはいえ「メールより利用率が高いツールはいまのところない」というふたつの事実を踏まえた上で、どうしていけばいいのかを考えなくちゃいけません。
というか、自分がおもいっきり直面したのでけっこう悩みました。
攻城団の場合
攻城団ではこれまで招待制(登録の申請をもらって、ぼくが招待メールを送っていた)を採用していたのですが、それをやめることにしました。
わざわざ手間のかかる方法を採用していたのは上記の告知にも書きましたが、捨てアカウントを減らしたかったということと、メールが届くかどうかの確認をしたかったからです。
ただ結果として、これをやめることにしたのは、「そもそもの招待メールが届かない」というケースが増えてきたからです。
(おそらく発生率はそれほど変わってなくて、利用希望者が増えたために実数が増えている)
なかには「招待メールが来ないんですけど」ってメールをいただくことがありますが、招待メールが受け取れてない以上、問い合わせに返信しても(もちろん返信してます)届いてないと思われます。
けっきょくなにもできないままお互いが諦めるということがつづいています。
もっともこれは、こちら側の問い合わせ先として電話番号を載せれば少しは解決します。
ただ(法人化を視野に入れて動いているとはいえ)決まった曜日、決まった時間に問い合わせの電話を開けるというのはなかなかハードルが高いことです。
いつかはやりたいと思いつつ、まだその余裕はないです。
だからよくある即時登録型に変更することに決めました。
この判断はけっこう迷いました。じっさい最初のメールをぼくから送るということにはたんに登録のハードルを上げるだけじゃなく、その後なにか困ったときにメールで質問しやすくなるという心理的作用なども考えてのことだったのですが、そもそも届かないんじゃ意味ないですしね。
とはいえパスワード再発行のためにメールアドレスはもらわないといけないので、ユーザーDBにメールアドレス確認済みフラグを用意して、登録フローとは別にメールの受信確認フローを用意しました。
余談ですけど、パスワードの再発行に電話を使うというのは一部のショッピングサイトやクレジットカードの会員サイトなどで採用されていて、あれはメールよりも普及率が高い手段だからいつかやれたらいいなあと思ってます。
「メールアドレスなんて、ただの記憶しやすい文字列にすぎない」のか、「貴重なコミュニケーションチャネル」なのかは、なかなかむずかしいところです。
利用者としてはウザいメールをやたら送られるのはかんべんしてほしいので、できれば預けたくないというのが本音でしょうけど、とはいえパスワード再発行ができないのも困るし。
この件についてはたぶん今後も何度か試行錯誤をするかなあ。
ぼくらはメールアドレスから解放される日が来るのでしょうか。
[追記]
メールアドレスをログインに使わずにすむ手段として、外部サービスのシングルサインオンを利用するというのもありますね。これならパスワード再発行なども(こちら側では)不要になります。
ただまあとくに攻城団のような年配の方も利用するサービスの場合、ツイッター等のアカウントを持ってないことも少なくないですし、アカウント連携も「なんか怖い」と思われるでしょうから開発していた頃から頭にはあったけど、採用することはないでしょうね。