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いまさっき思ったこと

あとで読み返したときになにかが生まれるかもしれないし、生まれないかもしれないけど、それはそれでいい

バーティカルメディアとネイティブアドの可能性(セミナーレポート)

昨日は「宣伝会議インターネットフォーラム2015」に参加してきました。
関東に住んでたときはほぼ毎年来てたんですけど、ずいぶんひさしぶりな感じがします。

いくつかセッションを受講したんですが、ネイティブアドのセッションがあったのでフォトレポート*1でご紹介。

ジャンル特化型メディアで広がる、DeNAのネイティブアド
~鋭いコンテンツ訴求でユーザーの心をつかみましょう~

株式会社ディー・エヌ・エー
渉外統括本部広告ビジネス部 部長 長村 禎庸 氏

 まず最初にDeNAが定義するネイティブアドについての話がありました。

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「ネイティヴアドとは、広告がコンテンツになった状態」という定義とおっしゃっていて、上記のスライドにあるように、その広告=コンテンツをメディアと広告主がいっしょにつくるんだということなんですが、これって「ネイティブ」のニュアンスが消えちゃってると思うんですよね。

こないだLINEの谷口さんのセミナーでは、「見た目のネイティブ」と「中身(内容)のネイティブ」とわけて話されていて、ようするにインフィード型のように上下の通常コンテンツと同じデザインで表示される広告「枠」だったり、旧来の記事広告のようにコンテンツ自体がほかのコンテンツと同じような構成になってたりするネイティブアドをわりと的確に分類されてるなあと思ったんですけど(NAVERスポンサードまとめのように両方を満たしてる広告もあります)、たぶんDeNAでは後者の記事広告型(スポンサードポスト)しかやってないので、「広告がコンテンツになった状態」と定義しているんでしょうね。

余談ですけど、「ユーザーが喜ぶ」とか「おもしろい」というのはネイティブアドの定義にはなんの関係もないとぼくは思っていて、それはあくまでも「より多くの人に届けるための手段であり手法」であって、おもしろくなかったらネイティブアドじゃないかというとそんなことはないと思うわけです。
(手法なのでバズらせるためにわざと「喜ばない」のをつくることだってあるかもしれませんよね)

このへんの定義論は話が尽きないわりにはたいしておもしろくないのでここで止めておきます。

このセッションの話題は「Palette(DeNAパレット)」の紹介で、ようするにバーティカルメディアのほうが読者がはっきりしているので、しっかりアピールできるし購買などの行動につなげることもできますよ、という話でした。

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いわゆる「枠から人へ」論のコンテキストで、ここはぼくも同意見で、より正確には「枠から人々へ」と呼べる程度のボリュームに対して、広告を届けていけるというのはもっともっと評価されるべきで、そこでいろんな施策にチャレンジして深堀りしたいなあと思います。

ちなみにDeNAではこんな感じで、年齢・性別ほぼ全方位をカバレッジしているとおっしゃってました。

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まあこういうマトリクスを出しちゃうと、Yahoo!のがすごいってなるんだけど、各メディアごとに異なる切り口で記事広告をつくっているそうです。

ここは昨日聞いてて「まっとうだなあ」と感じたところですね。

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実例としてAirbnbの事例が紹介されてました。MERY、iemo、Findtravel、それぞれで独自の切り口で紹介しています。

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まあじっさいのところは複数メディアに掲載できる広告主は(商材的にも予算的にもハードルが高いので)少ないと思うんですけど、こうやって多面的・立体的に魅力を伝えていく企画を考えるのは楽しいだろうなあ。

バーティカルメディアでのネイティブアドには次の5つの可能性(使いどころ)があるそうです。

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  1. イメージチェンジをせまる
  2. 具体的な利用シーンに自分を重ねてもらう
  3. 世界観にひたってもらう
  4. 価値の翻訳
  5. アクションをうながす

たぶんこのへんの売り文句って女性誌や専門誌でよく見られる項目ですね。

ネイティブアドの効果測定についてはほんとに悩ましくて、ブランディングとかエンゲージメントとか数値化しづらいもの(あるいは中長期的にしか測りようがないもの)を軽視しちゃいけないとは感じつつ、直近の売上や来店などを無視するわけにもいかないので、アクションをうながす部分は大事ですね。
(ま、まったくアクションにつながらない広告がブランディングにだけ貢献できるとは思えないけどね)

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DeNAの場合はキュレーション(=まとめ)系のメディアが中心ですけど、これが編集長や編集部員、あるいは専属モデルなどがもっと前面に出るメディアなら、よりアクションにつなげることもできると思います。
(とはいえ、閲覧者のボリュームではキュレーション系のが多くなるでしょうから、実数ベースではあまり変わらないかも)

さらにPaletteというプラットフォーム間で相互送客できるのも強みだとおっしゃってました。

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このへんはOutbrainやpopIn Discoveryなどを利用すれば擬似的にできなくもないのですが、記事本文中で相互リンクできたりするのは同じ会社で運営するからこそのメリットかもしれませんね(じっさいにやってるかは知らないけど)。

個人的にはネイティブアドというのは、読者を理解し、読者から信頼を得たメディアが、これまでの関係性の中で、全責任を背負って届ける広告、だと定義しているので、その点ではバーティカルメディアのほうが向いているはずだと思うんですよね。
(余談ですが、読者を理解するもっとも簡単な方法は、自分が読者代表になる=自分が読みたいコンテンツを載せる、です)

あとはバーティカルメディアのネットワークを事業者間でつくっていく動きが今後増えていきそうな気がします。
「Syn.alliance(シンドットアライアンス)」のように資本的な結びつきがなくても、広告商品レベルで組んでいけると思うし、過去のバナーネットワークと同じだと思えばそんなにむずかしくなさそうですしね。あるいは広告主側で勝手に作っちゃうってのも出てくるかも。複数のメディアのネイティブアドを購入して、その記事間でリンクしちゃうとか。自社サイトにハブとなるページを用意してもいいでしょうしね。

けっきょくコンテンツマーケティングというのは「誰に」「どうやって」届けるのかというディストリビューションの部分が課題で、そのためにオウンドメディアを育てたりソーシャルメディアのフォロワーを増やしたりするんですけど、それらはあくまでも手段のひとつにすぎないので(もちろんコスト効率の面で中長期的にはメリットがあるんですが)、短期的にはネイティブアドとかをうまく使っていったほうがいいんじゃないかなと思います。

最近はソーシャルメディアで影響力を持っているライターを指名する企業も増えてますが、これも目論見は同じですよね。
(まあ拡散まで求められるライターさんはなんとも不憫だと思うけど)

いろんなメディアを抱えてるって点ではイードとかもあるし、それこそインプレスのように長年バーティカルメディアを複数運営してきている企業もあるので、これからおもしろい動きが出てくるかもしれませんね。

[以下余談]
ちなみに、こんな感じでMAUが発表されるわけですけど、こないだ書いたようにいまのご時世、アプリ内ブラウザ(WebView)が重複カウントされてるわけですから、じっさいにはこの何分の一でしかないってことはわかっとかないといけないかなと。

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*1:最近は録音・録画はNGだけど撮影はオッケーなイベントが増えましたね。ほんとにありがたいことです。もっともパシャパシャとうるさい人も多いんだけど、無音カメラアプリとか知らないのかな

おもしろき こともなき世を おもしろく すみなしものは 心なりけり