いまさっき思ったこと

あとで読み返したときになにかが生まれるかもしれないし、生まれないかもしれないけど、それはそれでいい

ネイティブアドの評価指標で重視するのはブランドリフト、クリックスルー、ソーシャルメディアでの拡散

ウォール・ストリート・ジャーナル』にネイティブアドの評価指標についての記事がありました。

eMarketerによれば、USでのネイティブアドに投下される予算は増加すると予測されていて、BuzzFeedのような新興メディアだけでなく、New York Times や The Wall Street Journa といったメジャー紙も参入しているという現状を伝えています。
 
その一方で、ネイティブアドを用いた施策をどう評価するのかについてはアメリカでも試行錯誤中みたいです。
ANA(全米広告主協会)の調査結果が引用されていましたが、主要な指標として「ブランドリフト(17%)」「クリックスルー(15%)」「ソーシャルメディアでの拡散(15%)」が挙げられていました。
 

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(2014 ANA Native Advertising Survey Data Chartsの項目名を和訳)
 
たぶんこのへんは日本でも同じような結果になりそうな気がします。
 
その一方で(ブランドリフトが重要視されるのはよくわかるのですが)、こないだも話してたんですけど、そもそもメディアと読者がこれまでに築いてきた関係性を前提にメッセージを届けていく広告商品であるネイティブアドにおいて「ソーシャルメディアでの拡散」が問われるというのは本質的に矛盾しているような気もしなくはないです。
結果としてふだんの読者以外に届いてしまうわけで、彼らとはメディアとの関係性が希薄なわけですから(場合によっては初めての人もいるかもしれません)、いろんな前提を共有しないまま広告コンテンツを見せることになります。
 
このあたりは「ネイティブアドにできること」と「ネイティブアドに求めること」がいまいちすりあっていないことが原因なのだと思うので、今後いろいろと(成功も失敗も)事例が共有されていって、手法としてのネイティブアドの効果的な使い方が定着していけば、ミスマッチが減っていくのかもしれませんね。

ネイティブアドの広告表記に「PR」はアリなのかナシなのか

電通パブリックリレーションズの細川さん(WOMマーケティング協議会事務局長もなさってます)がITmedia マーケティングに書かれている記事で、ネイティブアドの広告表記で「PR」はないんじゃないのと書かれてます。

まったくそのとおりで、ぼくも「広告」「AD」と「PR」が並列に置かれるのはしっくりこないと思ってました。
ほかにも紙メディアでよく見るのが「提供」や「協力」というクレジットですかね。このへんも「あわよくばやりすごそう」という不誠実なにおいがする。

ようするにお金を主とした(お金以外の利益供与のこともあるから限定しない書き方をしますけど基本的には広告費のことです)やり取りがあることを示すのが広告表示で、同時にそれはただ書けばいいってもんじゃなく、読者にわかるように伝えなきゃいけないわけですから、そこに「気づかれなきゃラッキー」的な発想は含まれちゃいけない。

このへん、そのうち整理したいなと思ってたところです。

文句なしにOKな表示 「広告」「AD」「広告企画」
判断がわかれそうな表示 「提供」「タイアップ」
微妙で不誠実な表示 「PR」「協力」「コラボ記事」「企画」

「広告」って入ってたら見てもらえなくなる、ネガティブなバイアスがかかってしまう、という危惧はよくわかるんですけど、見た目がほかのコンテンツと区別しづらいネイティブアドでそれやっちゃったら致命的だと思うんですよね。

ぼくは広告のチカラを信じたいし、広告費がまわるからつくれるクオリティのコンテンツがあると思うし、そういうのは読みたいけどなあ。

コンテンツ内に自社の宣伝色を抑え、本来の意味での「スポンサード」をしたら(「世界の車窓から」と富士通みたいに)、その企業の好意度はきっと上がるはずです。
もちろん間接的になるので広告主側の評価がむずかしくなるんだけどね。

そもそも「PR」にしたからといって閲覧者数や読了率が大きく変わるとは思えないんだけど、ここはぜひ調査してもらいたいところ。

おもしろき こともなき世を おもしろく すみなしものは 心なりけり