「SLAM DUNK」など部活スポーツマンガの進級問題
みんな大好き、「SLAM DUNK」の話です。
先日ごはん食べながら「『SLAM DUNK』というのは『部活スポーツマンガ』としての完成形で、それゆえに進級できなかった」的な話をしたんだけど、この
- 1年生が才能ある主人公(そして素人か無名)
- 同級生に名の通ったライバル(1年生エースになれる逸材)がいる
- 精神的に頼りになる先輩がいる
などなどの構成要素をここまでバランス良く配置してしまうと、進級させた途端(=3年生がいなくなる)その完成されたバランスが崩れるんだよね。
まあこれは高校野球とかのチームマネジメントにおいても同じことが言えるんだけど。
もし「SLAM DUNK」が進級してたら、桜木よりもやんちゃで才能を秘めたやつを出さなきゃいけないとか、あるいはすごく才能のあるやつが先輩である桜木を「このド素人が」となかなか認めなくてその確執と和解を描くとか、まあ井上先生ならもっとおもしろい話を考えると思うけど、それでも赤木や三井のいた一年間と比べたらトーンダウンせざるを得ない。
「ドカベン」は進級させたけど、土井垣はじめほとんど先輩とからめなかったからなあ。
それでも山田と土井垣で正捕手争いをしたあたりはおもしろかったし、そもそも「ドカベン」の歴史的意義は「魔球」なしの野球マンガで人気作となったところにありますからね。
完全に余談だけど「ドカベン」における岩鬼を主人公にすえたのが「SLAM DUNK」という話は前にどっかに書きました。
いま連載中のマンガで、同じように高校の部活スポーツを扱ったマンガでいうと『マガジン』の「ダイヤのA」「DAYS」、『チャンピオン』の「弱虫ペダル」、『スピリッツ』の「あさひなぐ」、それと『ジャンプ』だと「ハイキュー!!」あたりが、冒頭に書いた諸条件を満たしてると思うんだけど、このうち「ダイヤのA」と「弱虫ペダル」は進級させて作品を継続しましたね。
「ダイヤのA」についてはまだ2年生編がはじまったばかりなので評価は保留するとして、「弱虫ペダル」についてはなかなか厳しいものがあるなあという印象。
最新刊のレビューを見ても、後輩として入学してきた鏑木というキャラクターがいまいちで、レース展開も「誰かが脱落、それを救出、全員揃って総北だ!」的なワンパターンになってるとけっこうな人たちに指摘されてます。
まあ「弱虫ペダル」についてはライバル校も上級生が多かったので、ライバルも再編成しなきゃいけないとかいろいろ大変なんですけどね。
個人的には「DAYS」にめちゃくちゃハマっていて、連載を読みながら号泣したことも多数なんだけど、このマンガも進級問題をどうクリアするのか心配。
あと、これだけ「部活スポーツマンガ」が多いのは、読者が自分(や周囲)の実体験と重ねて感情移入しやすいので人気マンガになりやすいというのはあるでしょうね。
蛇足。「火ノ丸相撲」は主人公が身長が低いというハンディキャップを抱えつつも圧倒的な才能の持ち主という設定なので、「部活スポーツマンガ」ではあるものの「SLAM DUNK」的な王道マンガではないんだよね。おもしろいけど。