いまさっき思ったこと

あとで読み返したときになにかが生まれるかもしれないし、生まれないかもしれないけど、それはそれでいい

検索プログラムのデフォルトのソート順はどうするべきか

検索のプログラムはむずかしいですよね。

そもそも「ヒット精度のチューニング」が大変です。利用者が検索に使用するキーワードはけっこう表記の揺れがありますので、誤表記に対応したり旧字に対応したり、あるいはtypo(打ちまちがい)に対応しようとするとかなりの手間がかかります。

たとえば「手塚治虫」の「塚」の字は本来はテンがある「塚」ですが、ふつうに変換するとテンなしで表示されるので、両方ともヒットさせなきゃいけません。
ほかにも「赤塚不二夫」の場合、「藤子不二雄」とごっちゃになって、「赤塚不二雄」で検索する人がいるかもしれません。じゃあこれでもヒットするようにしておくか、パソコンやスマホで変換してればこういう表記にはならないから無視していいか、ちょっと悩みます。

じつは「まんがseek」でも「攻城団」でも、こうした表記の揺れを吸収するためにデータベースに「検索キー」という欄を用意して、いくつかの候補を保存しています。
ただこれってあんまり増やしすぎるとなんでもかんでもヒットしちゃうので、検索結果にノイズが増えるというジレンマがあります。

で、より重要になってくるのがソート(並び順)になるわけです。

デフォルトのソート順はどうするべきか

正解はサイトごとにちがうはずですが、サイトのカテゴリーによってある程度は決まるのかもしれません。

ECサイトなら「売れてる順」でしょうか。でもこれは新発売の商品が不利になりますね。「一定期間内に売れた個数(あるいは注文者数)の多い順」にするとちょっとはましになるかもしれません。さらに新商品の場合はちょっとだけゲタをはかせる(10個くらい売れたことにする)と有利不利も是正されるかもしれません。

じゃあ飲食店の検索とか、「攻城団」のようにお城の検索だとどうでしょうか。
スマホでの検索の場合は、「現在地から近い順」というのは悪くないかもしれませんが、いち利用者として考えると(値段が大差ないなら)100m以内にあるいまいちな店よりも、300m先にあるうまい店のほうがいいわけで、単純に距離順に出すのはまずそうです。

コンジョイント分析などをもとにして、スコア化するというのもいいですね。
しかもユーザー登録すれば許容できる距離とか、優先したい項目(たとえばコスパとか、テーブルの広さとか)に重み付けできたらなおいいかもしれません。

でも考えたいのはデフォルトのソート順です。
ユーザー登録とかはここでは考慮しないことにします。

ソートは提案

あるキーワードで候補が10件見つかった場合、それをどの順番で表示するべきか。

じつは「攻城団」ではぼくが個々のお城におもいっきり主観で割り振った「知名度」という数字を元に並べています。

知名度は10段階で、「姫路城」のようにほとんどの人が知ってるお城には10点を、天守はあるけど史実に基づかないなんちゃっての場合は6点、Wikipediaにも載ってないようなマイナーなお城には4点、といった感じである程度の基準を定めつつ、ぼくの感覚で微調整してつけています。

一度つけたらそのまんまじゃなく、ニュースで話題になったり、ドラマやマンガに登場したら修正を加えています。
たとえば雲海で有名になった竹田城は当初「7」でしたが、現在は「9」になってます。

これは個人的にはちょっとした発見でした。
ソートに使う適切なデータがないならつくっちゃえばいいと。けっきょく検索する方は(確率的には)メジャーなお城をさがしていることが多いわけですしね。

ソートというのは「あなたが探しているのはこれですよね?」という提案なので、それに近づくためにもっとも有効なデータはなにか考えることが大事です。

ただこれはお城のように数が比較的少ないからこそできるのも事実です。
ラーメン屋で同じことをやるのはさすがにむりでしょうしね。

知名度だけじゃダメだった

でもこれでは不完全でした。
上述したとおり、これはあくまでも「確率的に」妥当性を高めているだけで、過半数くらいの方のニーズを見たせているものの(ID順のように無意味なデータでソートするよりはるかにいいですし、過半数を満たせてるならそれで十分という考えもありますが)、もうちょっと改善の必要があるなと思ってました。

というか自分で使ってて不満があったのです。

結論をいえば、検索キーワードと完全一致したデータがあれば、ほかのものより(攻城団の場合でいうと知名度で負けていても)優先的に表示するようにしました。

以下のキャプチャは今回修正したあとの検索結果の画面です。

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2番目に表示されている鹿児島県松山城Wikipediaにもページがないお城で、知名度的には「4」となっています。
だから通常ならもっと下に表示されるのですが、検索キーワードと同じ名前ということで上位表示しています。

仕組みとしては裏側で検索する回数を1回増やしているので(完全一致のデータがあるかという検索が増えた)、負荷は前よりかかってるんですけど、それでも得られる成果と比べれば軽微なものだと判断しました。

細かいことは攻城団のほうのブログに書いています。

検索してヒットしないと利用者からは「データがない」と思われてしまうため、どうしても「より多くヒットさせる」方向で考えてしまいます。
これはしょうがないですよね。

そうして網を広げて、たくさんのデータがヒットした場合に、利用者がほんとうに探していたもの、見つけたかったものをいかに返してあげられるかは、それこそGoogleが何度も試行錯誤を重ねながら、人もお金もいっぱい使って取り組んでることで、ぼくらがちょこちょこっとやったところでたかが知れています。

でも「攻城団」ならお城、「まんがseek」ならマンガといった感じで、検索対象のデータがあるテーマに絞られていて、それなりに構造化されているというのはGoogleよりも恵まれた条件です。

小手先の対応でもけっこう便利に改善できるかもしれないなあと今回思いました。
またなにか思いついたら試してみます。

ほかにもいいアイデアがあればぜひ教えてください!

ぼくらはいつまでログインにメールアドレスを使うのか

少し前にAmazonがメールアドレスなしでも登録・購入できるようにしたという記事がありましたが、たしかにLINEなどのメッセンジャー系アプリの利用が増えて、相対的にメールの利用頻度が下がっている中で、いつまでメールアドレスをログインキーに使うのかという課題はありますね。

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そもそも迷惑メールが増える中、過度なスパムフィルタの設定によりサービス運営者からのメールが届かないケースが頻出しているのも無視できません。
くわえてメールアドレスって迷惑メール対策だけじゃなく、MNPなどのタイミングでも変わるので(でもサービス側にはなかなか変更を教えてもらえない)、最初は届いてたけど、ある日いきなり届かなくなっちゃうこともありますね。

ソーシャルメディアでの情報受信がわりと一般的になったいま、メールマガジンやメールニュースといったメールによる企業からのお知らせは極論なくしてもいいんだけど(もちろんマーケティング的な観点でいえば、「確実に届く」ことを前提にするなら、ソーシャルメディアよりもはるかに効果的で有用な手段ですけどね)、問題となるのはパスワードの再発行だったり、メンテナンス等によるサービス停止のお知らせだったりをどうやって伝えるかです。

アプリを配布してアプリ経由でやるか、ツイッターのDMやLINE@などをつかってやるか、検討に値する手段はいくつか思い浮かびますが、幅広い年齢層を対象にするとなると、どれも全ユーザーをカバーしきれないので採用には至りません。
(たとえばスマホを持ってないユーザーもいますよね)

このように「メールは届かないことがある(それは昔より増えている)」ということと、とはいえ「メールより利用率が高いツールはいまのところない」というふたつの事実を踏まえた上で、どうしていけばいいのかを考えなくちゃいけません。

というか、自分がおもいっきり直面したのでけっこう悩みました。

攻城団の場合

攻城団ではこれまで招待制(登録の申請をもらって、ぼくが招待メールを送っていた)を採用していたのですが、それをやめることにしました。

kojodan.jp

わざわざ手間のかかる方法を採用していたのは上記の告知にも書きましたが、捨てアカウントを減らしたかったということと、メールが届くかどうかの確認をしたかったからです。
ただ結果として、これをやめることにしたのは、「そもそもの招待メールが届かない」というケースが増えてきたからです。
(おそらく発生率はそれほど変わってなくて、利用希望者が増えたために実数が増えている)

なかには「招待メールが来ないんですけど」ってメールをいただくことがありますが、招待メールが受け取れてない以上、問い合わせに返信しても(もちろん返信してます)届いてないと思われます。
けっきょくなにもできないままお互いが諦めるということがつづいています。

もっともこれは、こちら側の問い合わせ先として電話番号を載せれば少しは解決します。
ただ(法人化を視野に入れて動いているとはいえ)決まった曜日、決まった時間に問い合わせの電話を開けるというのはなかなかハードルが高いことです。
いつかはやりたいと思いつつ、まだその余裕はないです。

だからよくある即時登録型に変更することに決めました。
この判断はけっこう迷いました。じっさい最初のメールをぼくから送るということにはたんに登録のハードルを上げるだけじゃなく、その後なにか困ったときにメールで質問しやすくなるという心理的作用なども考えてのことだったのですが、そもそも届かないんじゃ意味ないですしね。

とはいえパスワード再発行のためにメールアドレスはもらわないといけないので、ユーザーDBにメールアドレス確認済みフラグを用意して、登録フローとは別にメールの受信確認フローを用意しました。

余談ですけど、パスワードの再発行に電話を使うというのは一部のショッピングサイトやクレジットカードの会員サイトなどで採用されていて、あれはメールよりも普及率が高い手段だからいつかやれたらいいなあと思ってます。

「メールアドレスなんて、ただの記憶しやすい文字列にすぎない」のか、「貴重なコミュニケーションチャネル」なのかは、なかなかむずかしいところです。
利用者としてはウザいメールをやたら送られるのはかんべんしてほしいので、できれば預けたくないというのが本音でしょうけど、とはいえパスワード再発行ができないのも困るし。

この件についてはたぶん今後も何度か試行錯誤をするかなあ。

ぼくらはメールアドレスから解放される日が来るのでしょうか。

[追記]
メールアドレスをログインに使わずにすむ手段として、外部サービスのシングルサインオンを利用するというのもありますね。これならパスワード再発行なども(こちら側では)不要になります。
ただまあとくに攻城団のような年配の方も利用するサービスの場合、ツイッター等のアカウントを持ってないことも少なくないですし、アカウント連携も「なんか怖い」と思われるでしょうから開発していた頃から頭にはあったけど、採用することはないでしょうね。

コンテンツツーリズムの認識すべき課題

知らない人には知らせないほうがいいと思ってたけど、とうとうテレビでも取り上げられちゃったので。

岐阜県美濃加茂市観光協会がアニメ「のうりん」とコラボして作成したポスターの件です。

ことの経緯など

経緯としては

  • ポスターは11月7日からはじまる「みのかもまるっとスタンプラリー2015」を告知するためのもので、JR美濃太田駅に掲出されていた
  • 11月4日にはツイッターでもポスターのデザインを公開
  • 11月28日頃からこのポスターの表現を問題視する批判がツイッターを中心に寄せられた
  • 11月29日、美濃加茂市観光協会はポスターを駅から撤去した

って感じ。これが観光協会のツイート。

リプライが激しい。あとツイートを削除してないのはすばらしい。

一方、事実として認識しておきたいのは

  • このイベントは去年から開催されており、美濃加茂市と「のうりん」のコラボはアニメ放送前の2013年からおこなわれている
  • 原作者も美濃加茂市を訪問するなど、(観光協会だけじゃなく)市とも良好な関係を築いている
  • 市民からの批判はほとんど届いていない(担当者談)

というところでしょうか。

担当者のコメントはここで読みました。

美濃加茂市では、昨年から同様のスタンプラリー企画を複数回実施し、アニメファンを中心に観光客を集めていた。協力店舗も増加し、地域商店の売り上げにつ ながるなどの成果があり、地域活性化に一役買っていたという。担当者は「同作は真剣に農業を取り扱った作品。市民からはほとんど批判はなく、スタンプラ リーの協力店舗からも好印象だっただけに、ネット上での批判の声に戸惑っている」と話す。

美濃加茂市、アニメ「のうりん」コラボポスター撤去 ネット上の「セクハラ」「不適切」批判受け - ITmedia ニュース

ほかにもツイッター上で地元の方と思われるツイートをいくつか読みましたが、好意的(あるいは無関心)で、批判の声はないとのことでした。
(当然だけどこういうのは自分と似た意見しか紹介・拡散しないことが多いので、そのまま鵜呑みにするわけにはいかないけれど、もう3年目のコラボなので地元では「ああ、いつものアニメのやつか」くらいの印象かもしれないですね)

ただまあ客観的に見れば、「燃える要素」は持ってるポスター表現だよね。

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過去は目立たなかったから炎上しなかっただけで、ついに見つかってしまったという感じ。

もちろんぼく自身のスタンスはこんな批判で撤去する必要なんてないと思ってます。

コンテンツツーリズムを仕掛ければ当然起こる問題

ネット、とくにソーシャルメディアが普及したここ数年はあっという間に拡散しちゃいますよね。ネガティブなトピックほど速いのはいまにはじまったことではないけれど、まあ速い。
今回の件にしても月初に公開した時点ではかぎられた人(ファン)にしか届いてなかったので騒ぎにならなかったのに、誰かが騒ぎ出した途端にこうなっちゃったわけで。

一時期流行った「インフルエンサー」ってのの存在を認めざるをえない。
(現代のインフルエンサーは「人」にかぎらないけどね)

とにかく感想としては「不幸な出来事だった」「気の毒だなあ」に尽きるのですが、同時にこういう危険性は認識しておくべきだとも思うのです。

とくに「コンテンツツーリズム」を礼賛してきた人たちが今回ほとんどなにも発言してないのも気になっていて、観光協会×アニメという、まさに「らき☆すた」にはじまる王道ともいうべき事例に連なる今回のケースについて、べつに擁護はしなくてもいいけど(それはそれでポジショントークだと火に油を注いじゃうから)、冷静なコメントはほしかった。

たぶん次の学会とかで今回の件をテーマにした発表があるんじゃないかと思いますけどね。

問題の本質はアニメを使うことの是非でもないし、採用するアニメの選択の話でもない。「届くべきじゃない人に届いてしまった」ケースのトラブルシューティングにすぎなくて、みんなでFAQを整備していく必要があると思うのです。

「無視を決め込む」でもいいし、「次回の検討課題にします」というテンプレ回答でもいいし、こういう批判は届くもの、こういうトラブルは起こるものとして、準備していかなきゃいけないんですよね。

とくにコンテンツツーリズムってネットやソーシャルを味方につけてなんぼの取り組みなわけだし、当然開催側もソーシャルメディアを活用して告知・宣伝するわけでしょ。

当初は好意的な人たちによる拡散だったのが、たまたま対象外に流れてしまった場合――というかそんなことは日常茶飯事で防ぎようがない――に一気に批判が殺到するというのは今後も何度でも起きます。

アウトとセーフの境界

そんなものありません。よく使われるたとえですが、ディズニーだって嫌いな人はいるんです。

もちろん批判者を最小化するための努力はできるけど、そうしてできあがったものが誰の心を動かせるというのか。

是非と好き嫌いをわけて議論しなきゃいけないってだけの話なんだけど、まあすべての人に求めるのはむずかしいよね。

ちなみにこれが過去のポスターだけど、今回騒ぎになったのはなにも胸が強調されたキャラだったからではないとぼくは思ってます。ほんとたまたま(見つかっちゃいけな人に)見つかっただけ。

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作品をつくる人はもちろん、こうやって作品のチカラを借りてプロモーションに利用しようとする人にとっても、ほんとうに悩ましい時代ですけど、もうネットのなかった時代に戻ることはないし、とりあえず諦めて、受け入れて、うまく向き合っていくしかないですよね。

必要以上に拡散させようとせず、そばにいてくれるファンを大事に、彼らの声と通りすがりの人の声を聞きわけて、丁寧に対応していくしかないと思います。

ま、ぼくはアニメ見てないんだけども。
(今回の件は見てるかどうかも関係ないって話なのはいうまでもないですよね)

「SLAM DUNK」など部活スポーツマンガの進級問題

みんな大好き、「SLAM DUNK」の話です。

先日ごはん食べながら「『SLAM DUNK』というのは『部活スポーツマンガ』としての完成形で、それゆえに進級できなかった」的な話をしたんだけど、この

  • 1年生が才能ある主人公(そして素人か無名)
  • 同級生に名の通ったライバル(1年生エースになれる逸材)がいる
  • 精神的に頼りになる先輩がいる

などなどの構成要素をここまでバランス良く配置してしまうと、進級させた途端(=3年生がいなくなる)その完成されたバランスが崩れるんだよね。
まあこれは高校野球とかのチームマネジメントにおいても同じことが言えるんだけど。

もし「SLAM DUNK」が進級してたら、桜木よりもやんちゃで才能を秘めたやつを出さなきゃいけないとか、あるいはすごく才能のあるやつが先輩である桜木を「このド素人が」となかなか認めなくてその確執と和解を描くとか、まあ井上先生ならもっとおもしろい話を考えると思うけど、それでも赤木や三井のいた一年間と比べたらトーンダウンせざるを得ない。

ドカベン」は進級させたけど、土井垣はじめほとんど先輩とからめなかったからなあ。
それでも山田と土井垣で正捕手争いをしたあたりはおもしろかったし、そもそも「ドカベン」の歴史的意義は「魔球」なしの野球マンガで人気作となったところにありますからね。

完全に余談だけど「ドカベン」における岩鬼を主人公にすえたのが「SLAM DUNK」という話は前にどっかに書きました。

いま連載中のマンガで、同じように高校の部活スポーツを扱ったマンガでいうと『マガジン』の「ダイヤのA」「DAYS」、『チャンピオン』の「弱虫ペダル」、『スピリッツ』の「あさひなぐ」、それと『ジャンプ』だと「ハイキュー!!」あたりが、冒頭に書いた諸条件を満たしてると思うんだけど、このうち「ダイヤのA」と「弱虫ペダル」は進級させて作品を継続しましたね。

ダイヤのA」についてはまだ2年生編がはじまったばかりなので評価は保留するとして、「弱虫ペダル」についてはなかなか厳しいものがあるなあという印象。
最新刊のレビューを見ても、後輩として入学してきた鏑木というキャラクターがいまいちで、レース展開も「誰かが脱落、それを救出、全員揃って総北だ!」的なワンパターンになってるとけっこうな人たちに指摘されてます。

弱虫ペダル 42 (少年チャンピオン・コミックス)
 

まあ「弱虫ペダル」についてはライバル校も上級生が多かったので、ライバルも再編成しなきゃいけないとかいろいろ大変なんですけどね。

個人的には「DAYS」にめちゃくちゃハマっていて、連載を読みながら号泣したことも多数なんだけど、このマンガも進級問題をどうクリアするのか心配。

あと、これだけ「部活スポーツマンガ」が多いのは、読者が自分(や周囲)の実体験と重ねて感情移入しやすいので人気マンガになりやすいというのはあるでしょうね。

蛇足。「火ノ丸相撲」は主人公が身長が低いというハンディキャップを抱えつつも圧倒的な才能の持ち主という設定なので、「部活スポーツマンガ」ではあるものの「SLAM DUNK」的な王道マンガではないんだよね。おもしろいけど。

mangaseek.net

キン肉マンは「プロダクトプレイスメント」ではなく「ステマ」のハシリだったのかも

キン肉マン」といえば「牛丼一筋300年〜♪」と吉野家の牛丼のイメージが強いと思いますが、今日はこの『週刊少年ジャンプ』黄金期を支えた作品のひとつ「キン肉マン」と広告についての話を書きます。

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プロダクトプレイスメントってなに

広告の世界には「プロダクトプレイスメント」と呼ばれる手法があります。
たとえばドラマの主人公が持ってるスマホや時計や、乗ってるクルマがじつはスポンサーの会社のもので、こんな感じで企業の商品を役者の小道具や背景として登場(露出)させる手法のことをいいます。

Wikipediaによれば

誕生は1955年公開のハリウッド映画『理由なき反抗』と云われる。劇中でジェームズ・ディーンがポケットから櫛を取り出し整髪するシーンが何度も出てくるが、これを観た当時のアメリカの若者たちから「ディーンが使っていた同じ櫛はどこで買えるのか?」と映画会社(ワーナーブラザーズ)に問合せが殺到。これが新しい宣伝ビジネスモデルになると気づいた映画会社は、以降、一般企業との「劇中広告でのタイアップ」を始める。これが「プロダクト・プレイスメント」と呼ばれ、一般化した。現在、アメリカではPP専門の広告代理店が数十社存在する。

とあります。これがほんとうに最初のきっかけなのかはわかりませんが、じつに賢い人たちですね(狡猾なという表現のほうが適切かもしれないけど)。
じっさい、こうした例は増えています。ま、メガネなんかは「○○モデル」みたいなタイアップ商品を販売したりしてるので、当初の「ドラマや映画などの作品内に企業の商品をさりげなく映り込ませる」をこえて、ドラマがCMみたいになってるところもありますけど。

キン肉マンの作品中に登場した企業の商品

で、「キン肉マン」ですが、じつは吉野家がスポンサーだった、という話ではありません。むしろ「吉野家はアニメも含め一度もスポンサードしたことがない」と作者の嶋田先生が過去にツイッターで発言されてて話題になってましたね。

じつはキン肉マンは1話目から牛丼を食べてるのですが、そこに企業名は入っていませんでした。

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ジャンプコミックスセレクション「キン肉マン」1巻P.9

ミートくんが初登場する第3話「キン肉星からの使者の巻」で「牛丼ひとすじ八十年♪」という吉野家のCMソングが出てきます。
(CMソングの引用なのでJASRACの表示はありました)

f:id:takeshi:20151125102447j:plainジャンプコミックスセレクション「キン肉マン」1巻P.38

そして4話目の「キン肉星を救え!の巻」で「ここは吉野家 味の吉野家」とはっきり吉野家の企業名が作品中に登場します。若い人は知らないかもしれないけど、これもCMの冒頭で流れてたナレーションです。

f:id:takeshi:20151125102738j:plainジャンプコミックスセレクション「キン肉マン」1巻P.58

ここまでがっつり登場してても、吉野家についてはゆでたまご先生が勝手に使ってただけでお金は支払われていなかったそうです。
(ギャグとしてCMを使うという手法は珍しくはないです)

お金を出していたのは吉野家ではなく、森永製菓と森永乳業でした。
アニメのほうに登場していた記憶がぜんぜんないんだけど、たしかに原作にはポテロングやサンキスト、森永ココアといった商品がやたら登場します。
今回これを書くためにコミックス1巻を読み返したけど、12話目の「孤独のドジ怪獣の巻」にポテロングが登場して以降、たしかに毎週のように森永の商品が出てきます。
以下に一部だけ紹介しますが、じっさいにはもっと頻繁に出てます。

f:id:takeshi:20151125102925j:plainジャンプコミックスセレクション「キン肉マン」1巻P.167

f:id:takeshi:20151125102953j:plainジャンプコミックスセレクション「キン肉マン」1巻P.195

f:id:takeshi:20151125103013j:plainジャンプコミックスセレクション「キン肉マン」1巻P.212

また、お金が出ていたことは先生の本で明らかにされていますので、該当部分を引用します。

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ポテロングでスポンサー獲得!!

 話は唐突に変わるが、ポテロングというお菓子をご存知だろうか?
 森永製菓から長年にわたり出されているスナック菓子だが、ボクたちは作品中で何度もこのポテロングをキャラクターたちに食べさせた。森永のココアを出したこともある。
 これを出していたのには理由があった。
 連載開始初期の頃、ボクたちの原稿料は1ページにつき、5000円だった。だいたい月の収入にすると20万円ぐらいである。これをボクたちは2人で折半していた。
 ボクたちはひとりではなく、2人のコンビであったため、さすがにこの収入で生活するのはキツかった。しかし、ここで思わぬ助け舟が登場した。
 それが森永製菓である。森永製菓の重役さんがボクたちの『キン肉マン』を気に入ってくれて、作中に一コマ出すだけで、1週につき、5万円を出してくれることになったのだ。
 つまり、森永製菓が『キン肉マン』のスポンサーになってくれたのだ。
 最初、ボクたちは絵の脇にひっそりと森永のココアやポテロングを置くだけだったが、そのうちキャラクターたちと積極的に絡ませるようにした。
「ヒゲとココアさんはよく似合う」(キン肉マン
「ヒゲを生やさんでください!」(ミートくん
 このやり取りやミートくんのエンジェル体操など、ドンドンドンドン作中で森永製菓の商品を出していった。それは森永製菓の重役さんのご好意への恩返しの気持ちもあった。
 この収入のおかげで、ボクたちは駆け出しの頃に苦しい生活をせずにすんだからである。プロレスのリングを見たことのある人ならよくおわかりだろうが、リングのマットやコーナーポストにはよく企業広告が入っていることがある。
キン肉マン』における森永の商品は、それを同じ役割を果たしていたのだ。

宝島社「ゆでたまごのリアル超人伝説」P.63-64

美談のように書かれているけど、お金が払われていることが明らかで、だけど作品中にはどこにもそれが明示されていないということは、ありていにいえば「ステマ」です。
ぼくらが大好きな「キン肉マン」がこの収入によって支えられていたという事実は、当時愛読していたぼくにとって心情的には責めづらいけれど、だったら堂々と書けばよかったのにとも思うんですよね。
(書いてたほうが広告の歴史的にも画期的だったわけだし)

キン肉マンはプロダクトプレイスメントのハシリなのか

キン肉マン」が「プロダクトプレイスメント」のハシリだとか、元祖だとかという話はネットを検索すればけっこう出てきます。
だけど、ちょっと残念な話ではありますが、作中はもちろん巻末にもいっさいスポンサークレジットがありませんので、これはむしろ「ノンクレ広告」のハシリといったほうが正しいのかもしれません。
ましてや森永の商品を宣伝しようという意図が少なからずあった以上、ステマといわれてもしょうがないかなあと。

ちなみに森永製菓はアニメ版のスポンサーをつとめていたそうですが、アニメは1983年からの放送なので、少なくとも連載開始当初(1980年〜1983年)の両者の関係は伏せられていたわけですね。
もっともアニメ版のスポンサーをしたからといって、原作の作品中にノンクレで出していいのかって判断はあるけれど。

いまはステマについてはみんな過剰になりすぎていて、なんでもかんでもステマ扱いする傾向があります。それについてはぼくも辟易しているので、この「キン肉マン」のケースがステマに該当するかどうかについてはみなさんの判断に委ねます。
(これが「広告」なのかとか、いろいろ論点はあると思います)

ちょうどいまKindleで「キン肉マン」が期間限定無料キャンペーン中なので、ぜひ1巻だけでも読んでみてください。

もっともステマかどうかに関係なく、やっぱり「キン肉マン」という作品はおもしろいので、2巻以降もきっと読んじゃうと思います。
とくに超人オリンピック編以降、敵がインフレしていくし、敵キャラが仲間になるし、死んだと思ってたキャラがじつは生きてるし、とにかく『ジャンプ』の王道パターンのすべてがつまっている名作です。
初期からのキャラであるテリーマンとの確執とか、王位継承とか、ストーリーもいま読んでもアツくなれます。

そして、作品をたっぷり堪能したあとで、ノンクレ広告やステマのなにがダメなのか、どうやってれば良かったのか、そもそも「キン肉マン」のケースはステマなのか、などについてちょっとだけ考えてみてもらえるとうれしいです。
で、もしよければそれについてちょっと話したいです。

そもそもステマの違法性はけっこう微妙だったりするので、断罪したいというよりは「当時は牧歌的だったよねえ」という話になっちゃいそうですけどね。それならそれでいいですし。

ただ、いまだからこそいい題材になるかもしれないなと思ったんですよね。
ステマやノンクレ広告が法よりも倫理に寄った話であるからこそ、どういうケースならアリなんだろうかと考えるきっかけになるんじゃないかなと。

[補足]
なぜ「まんがseek」じゃなくここに書いてるのかというと、ポジティブな内容ではないからです。
じつはこのテキストは「『キン肉マン』こそがプロダクトプレイスメントの元祖だ!」的な内容としてちょっと前に書きはじめてたんですが、原作を読み返したり、ゆでたまご先生の本を読んでるうちに「これはプロダクトプレイスメントとして褒めちぎるわけにいかないな」と当初思ってた内容にはなりませんでした。

ただ、大好きな「キン肉マン」を貶めるような内容かもしれないので公開を躊躇してました。そしたらちょうどKindleで無料キャンペーンがはじまったので、いっそみんなに読んでもらって是非の判断や感想を聞かせてもらいたいと思って今回公開しました。

ネイティブアドはじめました

ネイティブアドって言葉が出てきた当初は「記事広告となにがちがうんだ」ってぷんすかしてる人が多かったけど、いつのまにかネイティブアドは「見た目がそっくり(ネイティブ)な広告枠」って感じになっちゃって、記事広告の話はどこかに消えてしまった。インフィード型が悪いって話じゃないんですけどね。

一方でどっかで見た企画とカブってるものの、ホンダがヨッピーさんを起用して自社サイト内におもしろコンテンツを公開したりして、コンテンツは自社サイトに置いたほうがいいという流れができつつあるように感じます。SEO的にも有利だしね。

まあこれまでも企業はキャンペーンサイトやコンテンツをつくったところで、「どうやって見てもらうの?」という課題はなかなか解決されなかったわけです。
けっきょく「つづきはウェブで」や「○○で検索」という広告を出稿しなきゃサイトを訪問してもらえないというのは、お金の使い方としてはなんとももどかしいところですよね。

自社サイトのコンテンツに誘導する、という目的においてはべつにバナー広告でもAdSenseでもよかったんですけど、メディアの目次にそれっぽく並んでたほうがクリックされるだろうってことは容易に想像できます。
(そもそも広告ブロックの問題とかもあるし)

ちょっと前段が長すぎた。
というか今日はインフィード型の話でもないし、記事広告の話でもありません。

ネイティブアドにはいろんなパターンがあるということは当初から説明されてきたし、ぼくも異論はないんだけど、どうせならもっと新しいことをやりたいなあと思うわけです。
いや、正確にいうと、スポンサードとかタイアップとか、やってることは古いんだけど、それを現代の環境にあわせてアップデートして展開したいのです。

分類でいうと「カスタム型」に入るような広告商品を各メディアがもっといろいろ企画していけば楽しくなるなあと。ぼくがネイティブアドが出てきたときにテンションが上ったのは、そういうことができるんじゃないかと思ったからなので。

これを書いたのが一年以上前のことですけど、あれからも勉強会に参加させてもらったり、いろいろと考えてきました。

で、ようやく実践するチャンスをいただけたのでやってみました。

それがこれです。

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攻城団はぼくが運営しているサイトです。
自分が訪問したお城の記録を管理できるようにしたくてつくりました。日本全国のお城が登録されていて、いつどこの城を攻めたのかがわかるようになっています。

また、ただ記録するだけじゃなく、次に攻めるお城を選ぶ際の参考にしてもらうために「バッジ」という仕組みを用意しています。
これはオンライン版のスタンプラリーみたいなもので、あるテーマに沿ってまとめられた複数のお城をすべてめぐると「バッジ」がもらえる、という仕組みです。

余談ですけど、これはぼくが2010年に考えた「コンテクストツーリズム」を実現するためにつくりました。もっとも、これはべつに新しい概念ではなくて「お遍路さん」などのように昔からやってることですね。

で、この「バッジ」を使ってキャンペーンをやろうと思ったわけです。
これを「タイアップバッジ」と呼んでますけど、今回のように本で紹介されたお城とか、ゲームに出てくるお城、ある県におけるお城ベスト10など、いろんなテーマでやれるんじゃないかなと考えています。

バッジが増えることは基本的にユーザーに歓迎されることだし、ユーザーが楽しむことでスポンサーとの心理的距離も近くなる、そして攻城団にとっても広告収入が入るだけじゃなく、ユーザーの活性度が上がることが予想できます。
つまり、みんなハッピーになる可能性があるんです。

こんなふうに誰かが犠牲になったり、誰かがガマンしなきゃいけない状況をうまく回避した広告商品を企画していきたいなと思ってます。
ネイティブアドならそれができるかもしれないので。

あといくつかアイデアはあるので、時期を見て(そしていっしょに取り組んでくださる相手が見つかれば)ひとつずつ実践していこうと思います!

もしみなさんのまわりにお城好きな人がいたら、攻城団のことを紹介してくださるとうれしいです。

kojodan.jp

Macでプレゼンする際の手順とおすすめのアプリ

ぼくはここ数年、MacBook Airで講演しています。

他の方が講演されてるのを見てると、デスクトップが丸見えだったりけっこう危ういなあと感じることがあったので、参考までにぼくがやってる手順と使ってるアプリを紹介します。

たぶん以下の手順を踏むことでまずトラブルなくスライド投影できるようになると思います(あとは内容次第!)。

おおまかな手順

  1. 講演前にMacを再起動する
  2. 常駐アプリをなるだけ終了させる
  3. HiddenMe、Caffeineを立ち上げる(後述)
  4. パワポを立ち上げてからプロジェクターに接続する

ようするに、デスクトップをきれいな状態にしてからプロジェクターにつなぎましょうということと、プレゼン中にあわてなくてもいいように事前に対処しておきましょうという2点です。

そのデスクトップ、見えても大丈夫?

たとえばスティッキーズにパスワードとかが書かれたヤバいメモがあったり、デスクトップにクライアントの名前が入ったフォルダがあったりとか、投影されちゃマズいものをあらかじめ非表示にしておけばトラブルは回避できます。
講演専用のPCとかあればいいんだけど、ほとんどの人は(ぼくもそうだけど)いつも使ってるPCを会場に持っていくことになると思うので、デスクトップが丸見えになると危険ですよね。

で、デスクトップのファイルやフォルダを非表示にしてくれるのが「HiddenMe」ってアプリです。
これはほんと便利。

HiddenMe Free : Hide Desktop Icons App
カテゴリ: ユーティリティ
価格: 無料

こんなふうにデスクトップ上のあれこれをぜんぶ消してくれます(もちろん非表示にしてるだけなので削除はされてないです)。

f:id:takeshi:20151103121937j:plain

このアプリを知るまではスライドのファイルが入ったフォルダを開いて最大化して、デスクトップを隠してたんですけどもうその必要はありません。
最近、有料版が出たっぽいんですけど、ぼくは無料版を使いつづけてます。
(上記の用途なら無料版でなんの問題もないです)

あ、スティッキーズとかはふつうに終了させておいてください。
それからSlackとかDropboxの通知が表示されるのも恥ずかしいので事前に終了です。たまにGmailの通知が講演中に表示されてる人がいますけど、あれ見てるこっちがドキドキしますよね。

電源管理も忘れずに

もうひとつは電源管理。
コンセントをさした状態でプロジェクターにつなぐならいいんですけど、いまのノートPCはけっこうバッテリーが持つので(そしてACアダプターは重いので)、内臓バッテリーだけで講演することもあります。
(ぼくはいちおう持っていくんだけど、講演台のスペースの都合等でさせないことがけっこうあります)

で、そういうときに勝手に省電力モードが作動して画面が暗くなったり、スクリーンセーバーが起動したりするとマズいわけです。
それを防いでくれるのが「Caffeine」というアプリです。

Caffeine App
カテゴリ: ユーティリティ
価格: 無料

カフェインってうまいこと名前つけたなあと思うけど、ようはMacを「寝かさない」アプリです。
これを起動しておけばスリープしませんので、講演中に同じスライドを表示したまま5分でも10分でも話しつづけることができます。脱線し放題です。

ちなみにこのアプリは講演にかぎらず、ふつうにリビングとかで作業してるときでも便利です。
トイレにいってる間にスリープしてるのを防げるので(まあバッテリー節約の観点からいうともったいないんだけど)。

ケーブルをつなぐ前に最後のチェック

講演台にMacを持っていき、用意されたケーブルを接続すると(あ、変換アダプターは忘れないようにしましょう)、その瞬間にデスクトップが投影されます。
つまりみんなに見られちゃうということです。講演開始前ってヒマなのでけっこうみんな見てますから、「これ見られてもいいんだっけ?」と最後の確認をしてからつなぎましょう。

ぼくの場合、だいたいこういう画面にしてから接続しています。

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で、接続したらF5を押してプレゼンモードにします。

事前にスライドを印刷した資料が配布される場合はこういう画面でもいいんですけど、資料配布がないときに後ろのスライドが見えちゃうのはネタバレになって話しづらい(というかウケが悪くなる)ので表紙だけのほうがいいと思います。

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終わり

プレゼンとかセミナーとか、人前で話すのってほんと大変ですよね。
「慣れが大事」とかいうけど(それはそのとおりだと経験的にも思うけど)いまだに緊張するし、毎回講演の翌日はぐったりしています。

で、とにかく話すことに注力できるように、それ以外のことはルーチン化したり、フォーマットを決めていくのがいいと思います。
そして不測の事態をなるだけ起こさないように、うまく今回紹介したアプリとかを使ってください。

スライドづくりとかもできるだけフォーマットやパターンを決めておくと、つくるときも話すときもリズムが生まれるし、聞いてるほうも理解しやすいのでオススメです。

これについて書くとまた長くなるので、またリクエストと機会があれば。

質の高い記事を書いて、何度でもSNSに投稿する作戦

1日10本ブログ書けとか、本数は少なくてもいいから質の高い記事を書けとか、いろんなアドバイスがあるけど、正解あるいは最適解ってあるんだろうか。
コンテンツマーケティングにおいてはたぶん冒頭の2つは部分的にはいずれも正解なんだけど、

  • ブログには質の高い記事を書く
  • ソーシャルメディアにはTPOにあわせて同じ記事を何度でも投稿する

というのがいいんじゃないかと思った。

具体的に話すと、たとえば「攻城団」で「花見にオススメのお城」って記事を書いたとして(書いてあるんだけど)、これを毎年ツイッターFacebookに投稿すればいい。
必要なら多少は修正するけど、まったくしなくてもいい。

そう考えると「質の高い」というあやふやな基準も「今後何度も使いまわせる」と解釈すればすごくわかりやすくなる。
つまり普遍性があるとか、本質的とかそういう意味になる。

花見関連だとほかにもこういう記事とか、たぶん何回でも投稿できそうですよね。

仮にこういう体制が取れれば、「質の高い記事を書く人」と「ニュースなどにあわせて過去記事をSNSに投稿する人」は別の人でよくなるし、むしろここは積極的に分業していったほうがいい。で、そうすると過去記事をサルベージしやすいようなCMSがほしくなるわけだよね。
タグやカテゴリで管理すればいいのかっていうと、なんかもうひとつアイデアがほしい気もする。
分業が進めば自分が書いてない記事を拡散しなきゃいけなくなるので記憶に頼るのもむずかしいし。Evernoteとかで関連のノートが表示されるけど、ああいう仕組みでうまく文脈を読み取って過去記事から投稿候補をピックアップしてくれるようなのがあるといいですね。こういうのを意識してやってる人がいたら手応えとか教えてください。
(あとどうやって過去記事をサルベージしてるのか知りたいです)

ソーシャルメディアへの投稿にひと手間かけるべきか(これからのCMSへの要望)

企業のオウンドメディアの大半はブログを使っていると思いますが、じっさいにはたんにブログに投稿するだけでなく、ツイッターFacebookなどにも更新通知を投稿していますよね。
それを「どのような方法で」おこなっているのか、おこなうのがいいのかということを考えてみました。

全自動か半自動か手動か

作業は少ないほどいいし、全自動がいいに決まってるんだけど、それは「得られるものが変わらないのであれば」という前提の話であって、なにかを失うのであればそれが妥協できるものかどうかをしっかり見極める必要があります。

いまつくってる「まんがseek」というサイトでこの問題に直面したので、ちょっと書いておこうと思いました。
結論としては「全自動にするために、最初にちょっとがんばった」という話です。

ソーシャルメディアへの投稿方法はいくつかあります。
とくにブログベースのCMSであれば、RSSを生成しているのでこれを使ってIFTTTやZapierなどをつかって自動化している企業が多いと思います。
あるいはWordPressなどであればプラグインを使うこともありますし、ブログASP側で連携機能を提供してくれていることもあります。

こういうのを使うこと自体は楽ちんでいいんだけど、投稿内容をほとんどカスタマイズできないんですよね。
これが悩ましいなと思ったんです。

なにが不満かというと、本文をカスタマイズできないんです。
たとえば本文中にリンクがある場合、そのままRSS連携で投稿してもリンクは切れてしまいます(テキスト化されるため)。

<a href=“http://example.com”>リンク</a>

とあったらFacebookに投稿する際は

リンク
http://example.com

と展開してほしいわけです。そしたらクリックできるから。

ほかにも見出しタグなどを使用しているのであれば(当然、デザイン的にも読みやすくするためにそうしたマークアップを行うわけなので)、適切に行頭に「☆」をつけたり、罫線ではさむなりして目立たせるようにしたいです。

しょうがないから自作した

そこまで細かく本文を変換できるサービスは探したかぎり、見つけられませんでした。
なので自分でつくったんだけど、こんな感じで投稿内容をカスタマイズしています。

これがツイッター。シンプルにテキストとURLだけ。

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まんがseek (@mangaseek) | Twitter

これがFacebook。本文に複数のリンクがあります。

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まんがseek | Facebook

そしてこれが元の投稿(tumblr)というかオリジナルのHTMLです。
最初の引用部分のパーツははてなブログカードを使わせてもらってます(すごく助かってます)。

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マンガヲッチ

入力側は共通で、それを配信先ごとにテンプレートをわけて生成して投稿しています。
(ちなみにツイッターFacebookAPIを使ったけど、TumblrはHTMLメールを送るだけで投稿できるから超簡単でした)

これからのCMSへの要望

こうしたカスタマイズによってリンククリックやシェア・リツイートなどのリアクション率がどのくらい変わるのかはわからないんだけど、最初にしっかり仕組みをつくっておけば投稿時の負荷が増えるわけではないのでできればやったほうがいいように思います。

最近、Bufferもよく使ってるんだけど、あれは明確に入力欄をわけていて、(きっと彼らは調査もしてるだろうから)コピペかカスタマイズかでそれなりに有意な差が出てるんじゃないかなと。

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BuzzFeedのCMSにはタイトル案を20個くらい入れられて、それを自動的にA/Bテストをして最適なものを選ぶ機能があるそうだけど、これからのCMSにはこういう機能が求められてるような気もするんですよね。
(これもつくりたかったけど、カウントしたりいろいろ大変そうだから今回は諦めた)

Movable TypeWordPressなど、いま普及してるCMSってもう10年以上開発がつづいていて、機能的には十分すぎるような気もする反面、配信側についてはまだまだ改善の余地があるのかもしれませんね。

 

なぜ最愛を目指すべきなのか(最愛バイパスについて)

マーケティング is.jpに「最愛を目指せ」と書いたのは2010年2月のことでした。

これをテーマにした講演は2011年の夏に最初にやってから、かれこれ10回をこえています。20回くらい話したかも。
その間、アップデートを繰り返したスライドも100ページ近くにまでふくれあがりました。他の方の講演などで引用いただいたという話もちらほら聞いています(ほんとうにありがとうございます!)。

そんなこんなで5年以上、考えつづけているテーマですが、いまだに発見もあります。
今回もひさしぶりにアップデートしました。

以下、軽く引くくらいの自画自賛がつづきますが、追加したスライドはこの1枚のみです。

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この1枚を追加しただけでバージョンを1.5から2.0に上げたのですが、そのくらい象徴的な1枚だと思ってます。
 
ようするに、「最愛戦略を選ぶとなにがいいのか」、「最愛戦略はほかのふたつの戦略(最高、最安)とどうちがうのか」という問いに対して、わかりやすく答えられていると思うのです。
 
AIDMAでもAISASでも、あるいはほかの独自な購買行動プロセスでもいいんですけど、一般的にぼくらはなにかを買おうと思った際に、類似した商品と比較(そして検討)します。
当然そこでは価格や機能(スペック)といった比較しやすい情報がもとになっていて、カカクコムなどはそこに特化したからこそあれだけ利用されているわけです。*1
 
たとえばスマホを買いにショップに出かけた人は各社の製品を比べます。カメラの画素数がどうとか、重さとか、電池の持ち時間とか。
だけど、iPhoneを買いに来た人は(色や容量は選びますが)他社のAndroidスマホは視界に入りません(ま、これは比喩だけど)。
 
iPhoneやMINI、あるいはスウォッチや「ほぼ日手帳」のように、特別機能面ですぐれているわけでもなく、価格的にももっと安い競合商品があるにもかかわらず、ちゃんと売れている商品が世の中にはあって、そういう「指名買い」がなぜ起こるのかということをずっと考えてきて、まだその原理のすべてを解明できたわけじゃないんだけど、「最愛戦略」は「競争を回避するための戦略」であることがあらためて確認できた気がします。いや、これまでもそういう話をしてきてたんですけどね。
 
別の表現をすれば、多くの企業が比較検討段階での競争を勝ち残るために多大なマーケティングコストを投じる中、そもそもその競争に巻き込まれないためにコストを投じるという考え方ですね。
 
ぼくはこれを「最愛バイパス」と名づけましたが、この図のとおり、「最高」や「最安」と、「最愛」のもっとも大きなちがいは、購買行動プロセスにおける「比較」や「検討」というステップを回避できる点にあります。
 
最近ブームの「コンテンツマーケティング」にしても、検索でヒットするために取り組むんじゃなく(それを否定はしませんが)、この最愛バイパスを開拓するために取り組んだほうが効果が出るんじゃないかと思います。
そういえば何年か前に、「消費者に検索された時点で負けで、検索されない関係を築くことのほうが大事」というようなことを書きましたね。いってることは変わってませんが、当時はうまく図式化できてませんでした。
 
価格やスペックで競合企業(商品)と比べられることなく、いうなればその企業やブランドの「人柄」や「個性」で選ばれることが叶うなら、値下げ競争というチキンレースに参加しなくても良くなるし、スペック表で競合製品と揃えるだけのための機能開発も不要になります。
そうすれば適切な利益が確保できるだけでなく、それを再投資することで企業と顧客との関係性はより強固で永続的なものになるでしょう。
 
こうした消費行動、企業のマーケティング戦略を、最愛バイパスとして図式化することで、自分がこれまで主張してきたことが単なる理想論ではなくて、かなり希望の持てる選択肢として裏打ちされた気がしたんですね。*2
(ぼくの好きな「現実的な理想論」というやつです)
 
会社を辞めたことに伴い、また出前セミナーも復活しようと思ってるので、またこういう話をしたいな。
あと事例研究をいろいろやっていきたいので、勉強会のような場もつくっていけるといいなと思います。希望者がいるかわかんないけど。
 
最新版のスライドを貼り付けておきますね。感想とか聞かせてもらえるとうれしいです。
 

 
[追記]
いつものように補足しておきますが「最安」や「最高」が選択できる状況にあるならば、むしろ積極的に採用すればいいと思います。
このふたつの戦略はやることがはっきりしていて非常にわかりやすいので、社内の意思統一も図りやすいですしね。
ただ資本力などの条件がそろわないために採用しづらい企業のほうが多いのも事実ですし、「最安」の裏事情がいわゆるブラック的な理由の場合、手痛いしっぺ返しがあるので、それは正しい戦略ではないと思います。
 
そもそも誰かが泣いたり耐えたりしないと実現できない「安さ」なら、消費者として求めるべきではありません。だからぼくら自身が「商品やサービスに対して、ちゃんと払うべき対価を支払う」ことも考えていかなければならないのでしょうね。

*1:レビューを元に比較するというのもありますが、あれはどちらかというと消去法に近くて、フィルタリングとして使ってるケースが大半ですね

*2:ブランディング論ではきっと似たような話があると思うんですけど、不勉強で知らなくてすみません。

第4回コンテンツツーリズム学会・シンポジウムに参加してきました

昨日は法政大学新見附校舎でおこなわれた第4回コンテンツツーリズム学会・シンポジウムに参加してきました。
シンポジウムって名前のついたイベントに参加したのははじめてなんだけど、こういう場所にいくだけで賢くなった気分がしますね。かんちがいだけど。

ちなみにシンポジウム(symposium)というのは「研究発表会」「討論会」という意味らしいです。

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参加者はだいたい50〜60人くらいでした。
大学関係者(教授とか学生とか)と行政の人で半分弱くらい、残りは企業の人(旅行会社、鉄道会社など)で、ぼくみたいに個人で参加してるのはほとんどいなかったみたいです。

コンテンツツーリズムというのは、最後の安田先生のあいさつによれば「定義はない」らしいのですが、いちおう一般的には「アニメやドラマなどのコンテンツをフックに、観光客を誘致し集客促進すること」をさしています。
アニメファンの「聖地巡礼」と呼ばれてる舞台になった場所めぐり――有名なのは「らき☆すた」に登場する鷲宮神社ですね――などがいちばんわかりやすいコンテンツツーリズムです。

以下、発表内容のサマリーなど。

【基調講演】「国際共同ドラマ制作と地域発信」
新鞍 トシヤ((株)Journal Entertainment Tribute 代表取締役

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タイのドラマのロケ地選定を仲介した際の話をされてました。最近はフィルム・コミッションが各地にできていて国内外のドラマや映画のロケに協力的な自治体も増えていますが、海外のドラマに登場することでインバウンド観光を促進する可能性があると。
タイでは「九州」自体の知名度が低いので、福岡県や熊本県など県別でPRせずにまずは「九州」ブランドをアピールしていくという話はなるほどなあと思ったものの、観光エリアとして大きすぎるので現実的にはむしろ抽象的すぎてわかりづらくさせちゃってるかもしれないなあと思ったり。
でもじっさいにタイからの観光客は増えてるそうなので、やっぱりドラマのロケ地になるというのは一定の効果があるんですね。

【研究発表】「『パワースポット社寺』参詣の研究」
内川 久美子(法政大学大学院 政策創造研究科 博士後期課程/法政大学地域創造システム研究所 特任研究員)

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「パワースポット」はいまやブームどころかすっかり定着しましたが、2010年くらいからはじまってます。
発表ではふれられてなかったけど、江原さんがテレビに出てた時期と重なるし、あとは風水ブームなども影響してそう。あとでふれますが、パワースポット観光は一箇所じゃなく複数のスポットをめぐることになるので、コンテクスト性が強いですよね。伊勢神宮出雲大社明治神宮とか、あと箱根の九頭龍神社とか、全国のパワースポットをまわってる人とかけっこういそうだし。

【研究発表】「『ニューツーリズム』時代の観光マナー」
家長 千恵子(法政大学大学院地域創造システム研究所 特任研究員)

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従来の物見遊山的な団体旅行から個人が自由に旅行する時代になり、より観光地の生活圏に踏み入る体験型の観光プランが増えたため、その弊害として観光客のマナーが問題化してるんじゃないかという話でした。
事例としては築地市場があげられてましたが、こうした観光客を受け入れることを目的としていない場所に観光ニーズが生まれていて、そこにモラルの低い人や文化的な前提を共有していない外国人を招き入れてしまうことで、深刻な問題になるというのは全国的に起こっています。
こうした問題は観光客がルールを「知らない」ことに起因していて、周知徹底できれば抑制できるんじゃないかという仮説は正しいと思いつつ、モラルの問題は残るなと思いました。

【研究発表】「エヴァンゲリオンのキャラクター商品の開発と販売」
板津 啓二(株式会社ナガトヤ 営業推進部企画次長兼東京事業所長)

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 全国の観光地やSA/PAなどで販売されているおみやげをつくっている長登屋の方の話で、その地域限定の、地域とコンテンツをうまく関連づけた商品開発をすることの重要性を話されてました。
エヴァと箱根湯本で「第3新東京市に行ってきました」とか。東京ワンピースタワーの「悪魔の実グミ」とか。
これがコンテンツツーリズムなのかというと微妙だけど、まあ地域限定のおみやげを買いに旅行する人もいるとは思うので、いいのかな。

思ったこと

コンテンツツーリズムについては前にこういうことを書いてます。

もちろん0を1にできるというのは素晴らしいことで、とくに「すでにあるコンテンツ」の有効活用としてはいいと思うんですけどね。

毎年、大河ドラマの経済効果が発表されてますが、前に調べたときには翌年以降は元通りになっていて、そういう刹那的な需要増ではせっかく雇った人をすぐ解雇しなきゃいけなくなるとか、トイレや休憩所などつくった施設もムダになるとか、とても効率が悪いです。
(もっともオリンピックのように短期間でも十分儲かるからと一気に建設して、終了後に解体するという話もあるんですけどね)

ぼくとしてはコンテンツツーリズムの効果を認めつつも、それを少しでも持続させるようにそれらをつなぐ「コンテクスト」に焦点をあわせた施策を考えたいんですよね。

そうすることで競争相手だった自治体同士が、統一したコンテクストをPRするパートナーになれるし、観光客を奪い合うのではなく相互に送客しあえる間柄になれる。

それとマナーの問題はほんとにどうにかしないといけないですよね。
竹田城にいったときも立入禁止区域に入る若者や、国史跡は火気厳禁なのに喫煙するおじさんはぼくも何度も見ました。監視を強化するのも限界があるし、たぶんそっちにいっちゃうと見学ルート制限とかどんどん残念な方向に進んじゃうので、なんとかマナーやモラルのところで解決したいものです。

JALのCMで使われていた北海道の「嵐の木」も観光客(まあ嵐のファンだよね)のマナーがひどくてゴミの投棄とか畑に踏み入るとかが頻発して、地権者が木を増やしちゃったという話がありましたが(5本じゃなく7本にしちゃったらしい)、こういうのはほんとに残念です。

あとこれはコンテンツツーリズムの短所でもあるんだけど、観光客はコンテンツに興味があるだけで、その地域自体を大事にしようという気持ちが薄いので問題行動を起こしやすいんですよね。
「旅の恥はかき捨て」なんて言葉がありますが、「嵐の木」を見に行った人は二度と訪問しないから平気で悪いことしちゃう。

こういうのをちゃんとコミュニケーションデザインとか行動心理学的なアプローチからも対策を講じて、その知見をシェアしていけるといいですね。

人見知りなぼくにはアウェイ感満載だったんですけど、こうやっていろんな方が取り組まれていることの話を聞くと、刺激になっていいですね。

ちなみに参加費は無料だったので、会場で販売されてたこの本を購入しました。

コンテンツツーリズム入門

コンテンツツーリズム入門

 

あと、この2冊は前に読みましたがおもしろかったです。コンテンツツーリズムに興味をもった人にはオススメできます。

n次創作観光 アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性

n次創作観光 アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性

 
物語を旅するひとびと―コンテンツ・ツーリズムとは何か

物語を旅するひとびと―コンテンツ・ツーリズムとは何か

 

 

バーティカルメディアとネイティブアドの可能性(セミナーレポート)

昨日は「宣伝会議インターネットフォーラム2015」に参加してきました。
関東に住んでたときはほぼ毎年来てたんですけど、ずいぶんひさしぶりな感じがします。

いくつかセッションを受講したんですが、ネイティブアドのセッションがあったのでフォトレポート*1でご紹介。

ジャンル特化型メディアで広がる、DeNAのネイティブアド
~鋭いコンテンツ訴求でユーザーの心をつかみましょう~

株式会社ディー・エヌ・エー
渉外統括本部広告ビジネス部 部長 長村 禎庸 氏

 まず最初にDeNAが定義するネイティブアドについての話がありました。

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「ネイティヴアドとは、広告がコンテンツになった状態」という定義とおっしゃっていて、上記のスライドにあるように、その広告=コンテンツをメディアと広告主がいっしょにつくるんだということなんですが、これって「ネイティブ」のニュアンスが消えちゃってると思うんですよね。

こないだLINEの谷口さんのセミナーでは、「見た目のネイティブ」と「中身(内容)のネイティブ」とわけて話されていて、ようするにインフィード型のように上下の通常コンテンツと同じデザインで表示される広告「枠」だったり、旧来の記事広告のようにコンテンツ自体がほかのコンテンツと同じような構成になってたりするネイティブアドをわりと的確に分類されてるなあと思ったんですけど(NAVERスポンサードまとめのように両方を満たしてる広告もあります)、たぶんDeNAでは後者の記事広告型(スポンサードポスト)しかやってないので、「広告がコンテンツになった状態」と定義しているんでしょうね。

余談ですけど、「ユーザーが喜ぶ」とか「おもしろい」というのはネイティブアドの定義にはなんの関係もないとぼくは思っていて、それはあくまでも「より多くの人に届けるための手段であり手法」であって、おもしろくなかったらネイティブアドじゃないかというとそんなことはないと思うわけです。
(手法なのでバズらせるためにわざと「喜ばない」のをつくることだってあるかもしれませんよね)

このへんの定義論は話が尽きないわりにはたいしておもしろくないのでここで止めておきます。

このセッションの話題は「Palette(DeNAパレット)」の紹介で、ようするにバーティカルメディアのほうが読者がはっきりしているので、しっかりアピールできるし購買などの行動につなげることもできますよ、という話でした。

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いわゆる「枠から人へ」論のコンテキストで、ここはぼくも同意見で、より正確には「枠から人々へ」と呼べる程度のボリュームに対して、広告を届けていけるというのはもっともっと評価されるべきで、そこでいろんな施策にチャレンジして深堀りしたいなあと思います。

ちなみにDeNAではこんな感じで、年齢・性別ほぼ全方位をカバレッジしているとおっしゃってました。

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まあこういうマトリクスを出しちゃうと、Yahoo!のがすごいってなるんだけど、各メディアごとに異なる切り口で記事広告をつくっているそうです。

ここは昨日聞いてて「まっとうだなあ」と感じたところですね。

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実例としてAirbnbの事例が紹介されてました。MERY、iemo、Findtravel、それぞれで独自の切り口で紹介しています。

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まあじっさいのところは複数メディアに掲載できる広告主は(商材的にも予算的にもハードルが高いので)少ないと思うんですけど、こうやって多面的・立体的に魅力を伝えていく企画を考えるのは楽しいだろうなあ。

バーティカルメディアでのネイティブアドには次の5つの可能性(使いどころ)があるそうです。

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  1. イメージチェンジをせまる
  2. 具体的な利用シーンに自分を重ねてもらう
  3. 世界観にひたってもらう
  4. 価値の翻訳
  5. アクションをうながす

たぶんこのへんの売り文句って女性誌や専門誌でよく見られる項目ですね。

ネイティブアドの効果測定についてはほんとに悩ましくて、ブランディングとかエンゲージメントとか数値化しづらいもの(あるいは中長期的にしか測りようがないもの)を軽視しちゃいけないとは感じつつ、直近の売上や来店などを無視するわけにもいかないので、アクションをうながす部分は大事ですね。
(ま、まったくアクションにつながらない広告がブランディングにだけ貢献できるとは思えないけどね)

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DeNAの場合はキュレーション(=まとめ)系のメディアが中心ですけど、これが編集長や編集部員、あるいは専属モデルなどがもっと前面に出るメディアなら、よりアクションにつなげることもできると思います。
(とはいえ、閲覧者のボリュームではキュレーション系のが多くなるでしょうから、実数ベースではあまり変わらないかも)

さらにPaletteというプラットフォーム間で相互送客できるのも強みだとおっしゃってました。

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このへんはOutbrainやpopIn Discoveryなどを利用すれば擬似的にできなくもないのですが、記事本文中で相互リンクできたりするのは同じ会社で運営するからこそのメリットかもしれませんね(じっさいにやってるかは知らないけど)。

個人的にはネイティブアドというのは、読者を理解し、読者から信頼を得たメディアが、これまでの関係性の中で、全責任を背負って届ける広告、だと定義しているので、その点ではバーティカルメディアのほうが向いているはずだと思うんですよね。
(余談ですが、読者を理解するもっとも簡単な方法は、自分が読者代表になる=自分が読みたいコンテンツを載せる、です)

あとはバーティカルメディアのネットワークを事業者間でつくっていく動きが今後増えていきそうな気がします。
「Syn.alliance(シンドットアライアンス)」のように資本的な結びつきがなくても、広告商品レベルで組んでいけると思うし、過去のバナーネットワークと同じだと思えばそんなにむずかしくなさそうですしね。あるいは広告主側で勝手に作っちゃうってのも出てくるかも。複数のメディアのネイティブアドを購入して、その記事間でリンクしちゃうとか。自社サイトにハブとなるページを用意してもいいでしょうしね。

けっきょくコンテンツマーケティングというのは「誰に」「どうやって」届けるのかというディストリビューションの部分が課題で、そのためにオウンドメディアを育てたりソーシャルメディアのフォロワーを増やしたりするんですけど、それらはあくまでも手段のひとつにすぎないので(もちろんコスト効率の面で中長期的にはメリットがあるんですが)、短期的にはネイティブアドとかをうまく使っていったほうがいいんじゃないかなと思います。

最近はソーシャルメディアで影響力を持っているライターを指名する企業も増えてますが、これも目論見は同じですよね。
(まあ拡散まで求められるライターさんはなんとも不憫だと思うけど)

いろんなメディアを抱えてるって点ではイードとかもあるし、それこそインプレスのように長年バーティカルメディアを複数運営してきている企業もあるので、これからおもしろい動きが出てくるかもしれませんね。

[以下余談]
ちなみに、こんな感じでMAUが発表されるわけですけど、こないだ書いたようにいまのご時世、アプリ内ブラウザ(WebView)が重複カウントされてるわけですから、じっさいにはこの何分の一でしかないってことはわかっとかないといけないかなと。

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*1:最近は録音・録画はNGだけど撮影はオッケーなイベントが増えましたね。ほんとにありがたいことです。もっともパシャパシャとうるさい人も多いんだけど、無音カメラアプリとか知らないのかな

正確なユーザー数を知る方法はもうないのか(ユーザー数の水増され問題)

メディアの媒体資料などで出てくる訪問者数(ユニークユーザー数)は、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールのデータを引用する事が多いと思いますが、前々から指摘されているように、昨今はアプリ内ブラウザ(WebView)で閲覧するケースが増えているため、このあたりの数字がいろいろおかしくなっています。
 
具体的には
  • アプリ内ブラウザは独立したアクセスとなるため、訪問者数がじっさいより多く出てしまう
  • その反面、ユーザーあたりのPV数などは小さくなってしまう(セッション単位では正しい)
といったことが起きています。
 
悪意があって水増しするのではなく、いうなれば「水増され問題」が起きているわけです。
新聞業界における押し紙の問題と同じで、あるいは雑誌等における出版部数と実売部数のギャップと同様、もはやウェブにおいても正しい数字が見えなくなってしまっているということは認識しておいたほうがいいですね。
 

前からべつに正確ではなかった

もっともウェブの数字は以前から正確ではなかったという指摘もあるでしょう。
じっさい、自宅のパソコンと会社のパソコンで開けば2ユーザーになりますし、ケータイやスマホで閲覧すればさらに重複するわけで、訪問者の実数とアクセス解析ツールの数字にはこれまでもギャップはありました。
 
いま起きているのはそれがよりひどくなっていること、もうどのくらいずれているのか推測すら困難な状況にあるということです。
 
たとえば
  1. 朝起きて、ブックマークからサイトを表示(スマホ × safari
  2. 通勤中にFacebookを見ていて、フィードに流れたリンクを踏んでサイトを表示(スマホ × Facebookアプリ)
  3. 昼休みに届いたメルマガのURLをクリックしてサイトを表示(スマホ × Gmailアプリ)
  4. 帰りの電車でリツイートされてきたURLをクリックしてサイトを表示(スマホ × Twitterアプリ)
  5. 自宅に帰ってノートパソコンでサイトを表示(PC × chrome
  6. 寝る前にベッドでぐうたらしながらタブレットでサイトを表示(タブレット × safari
というような行動をとった場合、これはすべて別ユーザーとなります。
(ま、いま家に帰ってパソコン開く人も少ないと思うけど)
 
極端な仮説として、もし全員が上記のような行動をとっていた場合、レポート上は60万ユーザーと表示されていても、実質10万ユーザーということになります。
 
ちなみにアプリを再起動した場合、PHPのセッション変数(Cookieベース)はちがうものが発行されたんですけど、Googleアナリティクスの場合も別セッション、別ユーザーということになるんですかね(その場合、さらに水増しが大きくなります)。
詳しい方、教えてください。
 

メディア運営者も事実が知りたいはず

上記の例のように、自分たちのメディアの訪問者数が60万人なのか、10万人なのかというのはまったく規模感の異なる話で、今後の戦略を考える材料としてサイト運営者も正確な数字は知りたいはずです。
(それを正直に開示するかはサイトによりけりでしょうけど)
 
仮に物販や課金コンテンツを提供する場合、想定客の母数としてサイトの訪問者数を仮に置くことが多いですけど、その数字が5倍以上にずれちゃうと話にならないですし。
 
Googleアナリティクスでは「サイトにログインすれば」という条件付きで名寄せする機能もありますが、コンテンツ系のサイトではログインしないで閲覧するユーザーが大半なので(というかそもそもログイン機能がないサイトも多い)、残念ながらあまり役に立ちそうにありません。
 
UserAgentやIPアドレスを組み合わせてセッションを結合することとかできないかなあと思ったんですけど、オフィスのように複数人が利用する環境下では軽率に同じ人のアクセスだと判定すると問題ですしね。
そもそもそれを防ぐためにCookieベースで人ごと(じっさいにはブラウザごと)にわけるようにしたのであって、今度は同一人物複数ブラウザな世界が来るなんて、なんとも皮肉な状況です。
 
DMPがなんとかしてくれないかなあと思ったりもしたんですけど(ぜんぜん正しい使い方じゃないけど)、けっきょく名寄せするキーが必要なのでなかなかむずかしそうです。
 

とりあえずおさえておくべき事実

Googleアナリティクスに代表されるアクセス解析ツールの訪問者数(ユニークユーザー数)は残念だけどもうほとんど信用できない、というのが結論なんですけど、現象としておさえておくのはこのあたりでしょうか。
  • 世の中のウェブ閲覧者の一般的な傾向として、スマホの普及とソーシャルメディア経由の訪問数増加によって、細切れのアクセスが増え、その状況下においてはセッション数は増加し、反対にセッションあたりのPV数は少なくなる
  • 昨日はFacebookアプリで、今日はsafariでアクセスした人は連日訪問しているにもかかわらず、データ上では「1日だけ訪問した、ふたりのユーザー」ということになってしまうように、リピーターを正確に計測できていないケースが増えている(もしかするとリピーター数はもっと多いかもしれません)
お金をかけるとか、複数事業者で合同調査すれば見えてくるならまだしも、ツイッターFacebookGoogleを巻き込まないかぎり、正確な数字がとれないとしたらもう絶望的ですよね。
 
訪問者数は信用できないし、セッション数もセッションあたりPV数が1に近づいている状況では意味のない数字になってしまうので、もうPV数だけ見とくかというのもあながちまちがった話ではないんですけど、キュレーションアプリのようにページを「先読み」しちゃう場合は、じっさいに見てないのにカウントされてしまうという問題があります。
 
また、最近Facebookがはじめた「Instant Articles」のように、コンテンツを外部配信して自サイト以外での閲覧を許可している場合、カウントされないけど読まれている幻のPVが生まれるので、PV数もいまいち使い勝手の悪いデータです。
(これはRSSリーダーで全文配信しているときから起きてる話ですけど、規模がちがってきてるのが現在の問題)
 
だからこそ滞在時間や読了率といった「量」より「質」の議論が昨年あたりから活発になっているわけですけど、そもそも「量」が正確に測れなくなって信用できなくなっちゃったという背景は理解しておいたほうがいいのかもしれませんね。
 
[追記]
事実認識がまちがってたらぜひ教えてください。

インディーズ・ウェブメディア情報交換会をしませんか

攻城団やまんがseekのような個人で運営するウェブサービス(それを仮にインディーズ・ウェブメディアと呼ぶ)のノウハウを共有する集まりを開催したいなあと思っています。

趣味であれ、道楽であれ、あるいはいつかはそれで食っていくという野望があるにせよ、仕事の合間に開発して運営するインディーズ・ウェブメディアはけっこう個々人でいろんな創意工夫をしているはずで、そういう情報交換をする機会って、聞かれることもほとんどないのであんまり表に出てこないですよね。

 
サーバー選定の話とかはわりと出てきたりもするけど(だいたいAWSかさくらVPSあたり)、たとえばユーザーサポートにどういうツールを使ってるかとか、CMSはなにを使っているのか(自分でゼロから作ったのか)とか、そもそも個々のページは動的生成なのか静的生成なのか、そしてそれはなぜなのかとか、ソーシャルメディアをどう利用しているかとか、コンテンツの企画や作成・更新などはどんなふうに進めているのかとか、いろいろ知りたいことはあるんですよね。
 
インディーズ・ウェブメディアの場合、自分が使いたいとか、自分がほしかったとか、いわゆる自分ニーズではじめてる人が多いと思うんだけど(なかにはアフィリエイトや広告収入を目論んで開発した人もいるかもしれないけどそれはちょっと忘れて)、だからこそ時間管理がとても重要になってくる。
 
やりたいことに費やす時間を最大化するためには、やりたくないことに奪われる時間を最小化する必要があるわけですよね。
で、この場合の「最小化」は「効率化」とイコールじゃなくて、効率化は最小化のためのアプローチのひとつでしかなくて、わかりやすくいえば「やらない」ことを決めることで作業そのものを無にしちゃうとか、削れるところはどんどん削って、つくっていく、生み出すことに時間をかけたい。
 
たとえば攻城団ではコメント欄はスパム対策とか負荷対策がめんどくさいので外部サービスを使ってアウトソーシングすることにしたんだけど、DISQUSのSSO(シングルサインオン)対応ってぜんぜん日本語の解説ページがなくてけっこうハマったんですよ。
ほかにもなるだけ月々の支出をおさえるために、画像はさくらの500円くらいのレンタルサーバーに置くようにしたり、更新があったページだけを抽出して静的なHTMLを再生成してアップする手順を自動化したり、ケチケチ運営のノウハウはそこそこ持ってます。
 
仕事ではエンジニアだったり、デザイナーだったり、あるいはぼくみたいに企画やマーケティングにたずさわってる人が、ある意味では自らの器用さを全開放してつくってるのがインディーズ・ウェブメディアなわけで、だからこそ得手不得手が個々人でちがうはずだし、ギブアンドテイクも成立しやすいんじゃないかなと思うんですよね。
 
その結果として、ネット上におもしろいサイトやサービスが増えていけばひとりのユーザーとしてもすごく楽しくなるし。
 
インディーズ・ウェブメディアを運営している方、ぼくと雑談しませんか。
でもってそれがもし公開可能で、後続者にとって価値のありそうなノウハウならどんどん残して開示していけるといいですよね。
そういう動きそのものがとてもネット的だと思うし。

「囲い込まない」マーケティング(Amazonペイメント良さげだね)

いよいよ日本でもはじまったAmazonペイメント(正確にはAmazonログイン&ペイメント)。

ちなみに日本はアメリカ、イギリス、ドイツ、インドについで5か国目らしいです。
前からいつからはじまるのかとワクワクしながら待ってたサービスで、ASPが順次対応していくだろうからモール以外のECでは大きな変動が起きそうです。
 
すでにフューチャーショップは対応してるそうですね。こういう場合は「最速」がなによりのマーケティング。
 
楽天などのモールを使うか、ASPや自社開発のプラットフォームで独自展開するかのメリット・デメリットについてはまあ大小いろいろあるわけですが、「初回購入のハードルの高さ」はけっこう重要度かつ深刻度が高い問題ですね。
いまやモール内のマーケティングがほとんど期待できない(効果はあるけどお金がすごくかかるので利益を出しづらい構造になってしまってる)状況において、この会員登録の手間を回避できるということは最大の優位点かもしれません。
 
通常のネットサービスの場合、「メアドだけで登録できるようにしよう」というような感じで、登録の際の必須項目を減らすことで(あとから追加で入力してもらえばいいと割りきって)、このハードルを下げることはできるんだけど、ECの場合は発送先の住所等はどうしても聞かなきゃいけないので、項目を減らすにも限度があるのです。
 
だから「決済代行」だけでは、「クレジットカード情報を預けるのが不安」という問題の解決にはなっても、「登録の手続きがめんどくさい(あるいは個人情報を預けるのが不安)」という問題の解決にはならないのです。
 
とはいえ、決済代行だけでもゼロから信用を獲得していかなきゃいけない店にとってはありがたいソリューションなんですけどね。
(クレジットカードの情報は店側も漏洩リスク等を考えると積極的には持ちたくないので)
 
じっさい決済代行のサービスはいろいろあります。
主だったところだけでもこんな感じ。
詳しい比較表はきっと誰かがつくってると思うので割愛しますが、今回のAmazonペイメントがすごいのは、Amazonに登録してある個人情報を決済に利用したEC側に渡せるという点なんですね。
 
こちらのECzineの記事にじっさいの画面の拡大写真があるけど、チェックボックスにチェックを入れるとEC店舗側の会員情報として記録することができます。

なんていうか、このへんの「囲い込まない」ことのマーケティング的なメリットをよくわかってますよね、Amazonは。
強者だからやりやすいのはもちろんあるんだけど、じゃあドコモがやれたかとか、Yahoo!がやれたかとか考えると、いかに独占欲の呪縛が強いかがよくわかります。
 
ユーザーの利便性を高めつつ、EC側の課題解決も実現する。
いいですよね。
 
もちろん二重管理になるわけだから(お客さんが引っ越したりした際に)情報の更新が滞るとかリスクもあるんですけど、それはすでにいま存在するリスクなので新しく生まれるリスクではないですし。
 
悪用するとしたら、すっごい安い商品を販売することで、Amazonの顧客データを(それもうっかりさんのデータを)大量に抜き取ることができるかもしれないけど、まあこういうのはドロップシッピングでも起きてた話だし、きっとAmazon側ですぐ止めちゃうだろうから大事にはならないと思います。
 
ま、個人的にはAmazonになら囲い込まれてもいいやって思うくらい散財してきてますけどね。
 
[追記20150515]
通販ソリューション展でフューチャーショップさんのブースで開催されたミニセミナーを聞いてきました。立ち見で30人くらいは聞いてたかな。
新しい情報としては、すでに数百社から問い合わせがあって対応に追われてるってことと、Amazon側に渡る情報は金額のみで「なにを買ったか」までは渡らないということです。
まあ出荷・配送はこっちでやるので購入した商品情報は渡す必要がないですからね。
(もちろん「誰が買ったか」は筒抜けですけどね)
 
以下は今日のセミナーの様子です。
写真は撮れなかったんですけど、フューチャーショップさんがカゴ落ち率(カート放棄率、カートに入れたけど買わずに離脱した人の割合)が7割もあるとおっしゃってて、そんなにあるのかと思いつつ、スマホの場合はいったりきたりが面倒なので、ブックマーク代わりにカートに入れたりするから比率はどうしても高くなるよねと思った。
ぼくもこないだゾゾタウンで買ったとき、まさに気になった商品をとりあえずカートにどかどか入れたから。
 

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おもしろき こともなき世を おもしろく すみなしものは 心なりけり