いまさっき思ったこと

あとで読み返したときになにかが生まれるかもしれないし、生まれないかもしれないけど、それはそれでいい

歓迎される広告、ウェブメディアのスポンサードの可能性について考える

ぼくが運営している攻城団にメディアスポンサー制度をつくりました。
そのときにいろいろ考えたことをメモしておきます。
感想コメントも聞きたいですけど、さらにこれを発展させて「こんなのやったら」というアドバイスをいただけたらさらにうれしいです(半ばそれを期待して書いています)。

なんとなくの前提

いまのウェブメディアの大半は無料で閲覧できるわけですが、それは広告収入で運営されているからで、利用者にしてみれば「広告はジャマだけど無料で使うからしょうがないか」と、いわば広告主の存在を必要悪みたいにとらえてますよね。

ネイティブアドが「枠」の話だといって、コンテンツに溶けこむように表示しても根本的にはなんにも変わってないです。というか「枠」の話に集約してしまうと「わかりやすいジャマな存在」から「わかりにくいジャマな存在」にシフトするだけで状況はさらに悪化します。

そこからは共感や支持につながるとは思えないんだよね。ぼくとしては広告はあくまでも「最愛」につながる一歩にしたい

もちろんネイティブアドにせよ、コンテンツマーケティングにせよ、コンテクストやTPOを重視して、内容でもって読者の支持を獲得することを考えていて、その有益な内容がただ広告というだけで無視されるという現実を打開するために「なじませ」「溶けこませ」ようとしていることは理解しています。じっさいにはそこまで考えてるのは少数派でしょうけどね。

むかし昔……

ぼくが小学生の頃、ファミコンディスクシステムのゲームで「帰ってきたマリオブラザーズ」というのがあって、それを永谷園がスポンサードしてたんです。
ロード画面に広告が出て、そのおかげでディスクの書換料(=ゲームの価格)が通常より100円安い400円になってました。1988年のことです。
30年近く経ったいまでもおぼえているくらい、子ども心にインパクトがありましたし、永谷園にはそれ以来ずっと好意的な印象を持っています。

あるいは大学時代にハマったスーパーファミコンの「ファミスタ」では球場の看板に「きりり」「午後の紅茶」などキリンビバレッジ(KIRIN)の実在する商品の広告が表示されていました。

f:id:takeshi:20160627113947p:plain

いまではこういうゲーム内広告ってのは当たり前になってますし、とくに看板のようにリアリティを強化するような広告はユーザーにも歓迎されていますが、当時は「うまいなあ」と感心したものです。これは1995年発売ですね。

ゲームというコンテンツを安価で提供するかわりにつつましい感じで宣伝したり(ロード画面はどちみち遊ぶために必要な時間なのでうまいですよね)、リアリティを増してよりおもしろくするために企業の協力を得る(=広告的な座組で実現する)というのは、なにも新しい話ではないんですけど、ウェブの世界でももっと事例が増えていけばいいなと思います。

こういうのは「歓迎される広告」としてうまく共存できるんじゃないかな。

理想的なスポンサード

また理想的なスポンサードのモデルとしては、ディズニーランドのアトラクションのスポンサーとか、オリンピックのスポンサーとかがありますね。
けっして目立って露出しているわけじゃないですけど、気づいたらその会社に対して好意をもつような。

チャンピオンズリーグハイネケンとかもCMは流れるけど、そのCM自体がサッカーファンを想定したものになっているので「こっち側」の感じがすごくしますよね。
あとは過去にも何度か書いてきましたが、ぼくが小学生の頃にセルジオ越後さんが全国をまわって開催していたサッカー教室。あれはコカ・コーラ社がスポンサードしていて、ぼくらは最後にコーラのロゴが描かれた赤いタオルをもらうんだけど、10年以上ボロボロになるまで愛用してたし、いまでもいい思い出です。

メディアがもっと「広告主と利用者を同じ側に立たせる」ために何ができるかを考え、実践することができたら、それはメディアを中心としたエコシステムにまで発展させることができるんじゃないかと思ったりします。

スポンサーを同志として、仲間として紹介することで、「俺たちが愛用してるサイトを支援してるこの会社いいね」と、ポジティブな印象を持ってもらえるようにしたいのです。

そんなこんなで

インターネット広告はいまもどんどん開発・改良されていて、たとえばツイッター広告とかって新しいですよね。
広告クリエイティブに「いいね」したり、RTしたりとリアクションができるのはすごくいい。そもそもブロックできる広告なんてすごい未来感があると思いませんか。

そういうテクノロジー手動の広告の未来にも興味を感じつつ、いまの自分にできることとして、攻城団では「スポンサードによる広告主と利用者との関係性の再構築」にちょっとチャレンジしようと思ってます。

それだけですべてをまかなうには大変かもしれませんけど、広告でも課金でも物販でもなく、企業や利用者による任意の支援(スポンサード)によって運営されるメディアが現実的に可能であること証明できたら、もっとネットが楽しくなるような気がします。
(そして少しだけ浄化されるような気もします)

ウィキペディアは寄付で成り立ってる最強かつ最大の事例ですけど、あそこまでの規模じゃなくても「便利なサイト」や「楽しいメディア」が「なきゃ困る存在」として経済的に自立できたら素敵だと思いませんか。

攻城団のメディアスポンサー制度についてはこちらをご覧ください。アドバイスもぜひお願いします。

おもしろき こともなき世を おもしろく すみなしものは 心なりけり