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いまさっき思ったこと

あとで読み返したときになにかが生まれるかもしれないし、生まれないかもしれないけど、それはそれでいい

第4回コンテンツツーリズム学会・シンポジウムに参加してきました

昨日は法政大学新見附校舎でおこなわれた第4回コンテンツツーリズム学会・シンポジウムに参加してきました。
シンポジウムって名前のついたイベントに参加したのははじめてなんだけど、こういう場所にいくだけで賢くなった気分がしますね。かんちがいだけど。

ちなみにシンポジウム(symposium)というのは「研究発表会」「討論会」という意味らしいです。

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参加者はだいたい50〜60人くらいでした。
大学関係者(教授とか学生とか)と行政の人で半分弱くらい、残りは企業の人(旅行会社、鉄道会社など)で、ぼくみたいに個人で参加してるのはほとんどいなかったみたいです。

コンテンツツーリズムというのは、最後の安田先生のあいさつによれば「定義はない」らしいのですが、いちおう一般的には「アニメやドラマなどのコンテンツをフックに、観光客を誘致し集客促進すること」をさしています。
アニメファンの「聖地巡礼」と呼ばれてる舞台になった場所めぐり――有名なのは「らき☆すた」に登場する鷲宮神社ですね――などがいちばんわかりやすいコンテンツツーリズムです。

以下、発表内容のサマリーなど。

【基調講演】「国際共同ドラマ制作と地域発信」
新鞍 トシヤ((株)Journal Entertainment Tribute 代表取締役

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タイのドラマのロケ地選定を仲介した際の話をされてました。最近はフィルム・コミッションが各地にできていて国内外のドラマや映画のロケに協力的な自治体も増えていますが、海外のドラマに登場することでインバウンド観光を促進する可能性があると。
タイでは「九州」自体の知名度が低いので、福岡県や熊本県など県別でPRせずにまずは「九州」ブランドをアピールしていくという話はなるほどなあと思ったものの、観光エリアとして大きすぎるので現実的にはむしろ抽象的すぎてわかりづらくさせちゃってるかもしれないなあと思ったり。
でもじっさいにタイからの観光客は増えてるそうなので、やっぱりドラマのロケ地になるというのは一定の効果があるんですね。

【研究発表】「『パワースポット社寺』参詣の研究」
内川 久美子(法政大学大学院 政策創造研究科 博士後期課程/法政大学地域創造システム研究所 特任研究員)

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「パワースポット」はいまやブームどころかすっかり定着しましたが、2010年くらいからはじまってます。
発表ではふれられてなかったけど、江原さんがテレビに出てた時期と重なるし、あとは風水ブームなども影響してそう。あとでふれますが、パワースポット観光は一箇所じゃなく複数のスポットをめぐることになるので、コンテクスト性が強いですよね。伊勢神宮出雲大社明治神宮とか、あと箱根の九頭龍神社とか、全国のパワースポットをまわってる人とかけっこういそうだし。

【研究発表】「『ニューツーリズム』時代の観光マナー」
家長 千恵子(法政大学大学院地域創造システム研究所 特任研究員)

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従来の物見遊山的な団体旅行から個人が自由に旅行する時代になり、より観光地の生活圏に踏み入る体験型の観光プランが増えたため、その弊害として観光客のマナーが問題化してるんじゃないかという話でした。
事例としては築地市場があげられてましたが、こうした観光客を受け入れることを目的としていない場所に観光ニーズが生まれていて、そこにモラルの低い人や文化的な前提を共有していない外国人を招き入れてしまうことで、深刻な問題になるというのは全国的に起こっています。
こうした問題は観光客がルールを「知らない」ことに起因していて、周知徹底できれば抑制できるんじゃないかという仮説は正しいと思いつつ、モラルの問題は残るなと思いました。

【研究発表】「エヴァンゲリオンのキャラクター商品の開発と販売」
板津 啓二(株式会社ナガトヤ 営業推進部企画次長兼東京事業所長)

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 全国の観光地やSA/PAなどで販売されているおみやげをつくっている長登屋の方の話で、その地域限定の、地域とコンテンツをうまく関連づけた商品開発をすることの重要性を話されてました。
エヴァと箱根湯本で「第3新東京市に行ってきました」とか。東京ワンピースタワーの「悪魔の実グミ」とか。
これがコンテンツツーリズムなのかというと微妙だけど、まあ地域限定のおみやげを買いに旅行する人もいるとは思うので、いいのかな。

思ったこと

コンテンツツーリズムについては前にこういうことを書いてます。

もちろん0を1にできるというのは素晴らしいことで、とくに「すでにあるコンテンツ」の有効活用としてはいいと思うんですけどね。

毎年、大河ドラマの経済効果が発表されてますが、前に調べたときには翌年以降は元通りになっていて、そういう刹那的な需要増ではせっかく雇った人をすぐ解雇しなきゃいけなくなるとか、トイレや休憩所などつくった施設もムダになるとか、とても効率が悪いです。
(もっともオリンピックのように短期間でも十分儲かるからと一気に建設して、終了後に解体するという話もあるんですけどね)

ぼくとしてはコンテンツツーリズムの効果を認めつつも、それを少しでも持続させるようにそれらをつなぐ「コンテクスト」に焦点をあわせた施策を考えたいんですよね。

そうすることで競争相手だった自治体同士が、統一したコンテクストをPRするパートナーになれるし、観光客を奪い合うのではなく相互に送客しあえる間柄になれる。

それとマナーの問題はほんとにどうにかしないといけないですよね。
竹田城にいったときも立入禁止区域に入る若者や、国史跡は火気厳禁なのに喫煙するおじさんはぼくも何度も見ました。監視を強化するのも限界があるし、たぶんそっちにいっちゃうと見学ルート制限とかどんどん残念な方向に進んじゃうので、なんとかマナーやモラルのところで解決したいものです。

JALのCMで使われていた北海道の「嵐の木」も観光客(まあ嵐のファンだよね)のマナーがひどくてゴミの投棄とか畑に踏み入るとかが頻発して、地権者が木を増やしちゃったという話がありましたが(5本じゃなく7本にしちゃったらしい)、こういうのはほんとに残念です。

あとこれはコンテンツツーリズムの短所でもあるんだけど、観光客はコンテンツに興味があるだけで、その地域自体を大事にしようという気持ちが薄いので問題行動を起こしやすいんですよね。
「旅の恥はかき捨て」なんて言葉がありますが、「嵐の木」を見に行った人は二度と訪問しないから平気で悪いことしちゃう。

こういうのをちゃんとコミュニケーションデザインとか行動心理学的なアプローチからも対策を講じて、その知見をシェアしていけるといいですね。

人見知りなぼくにはアウェイ感満載だったんですけど、こうやっていろんな方が取り組まれていることの話を聞くと、刺激になっていいですね。

ちなみに参加費は無料だったので、会場で販売されてたこの本を購入しました。

コンテンツツーリズム入門

コンテンツツーリズム入門

 

あと、この2冊は前に読みましたがおもしろかったです。コンテンツツーリズムに興味をもった人にはオススメできます。

n次創作観光 アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性

n次創作観光 アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性

 
物語を旅するひとびと―コンテンツ・ツーリズムとは何か

物語を旅するひとびと―コンテンツ・ツーリズムとは何か

 

 

おもしろき こともなき世を おもしろく すみなしものは 心なりけり