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いまさっき思ったこと

あとで読み返したときになにかが生まれるかもしれないし、生まれないかもしれないけど、それはそれでいい

支持率の数値化(最愛戦略の指標選びとしてのNPS)

最愛戦略について話をすると、だいたいの方には共感や賛同といったポジティブなリアクションをいただきます。

で、「うちはどうすればいい?」という質問に対しては、こないだ書いたように「いまいるお客さんが支持してくださってるポイント」を明らかにして、そこにできるだけ多くの予算を配分して強化していくのが答えです。
 
難解なのは「どうやって支持されてるポイントを発見するのか」と「どうやって施策が(最愛というゴールに向かって)前進しているか、あるいは後退しているかを把握するのか」という問題です。
 
もちろん売上が伸びているとか、リピート率が上がっている、新規顧客が増えているといった数字には影響が出るはずだし、そこはチェックポイントのひとつではあるけれど、結果だけに着目してしまうのは危険なことです。
(いいかえればお客さんの信頼を損ねていいなら、売上を伸ばす策の選択肢は一気に増えます)
 
また売上に目立った変化が生じる前に、その予兆として現れる数字を見つけないと、せっかく好転しはじめているのに施策をやめてしまうこともありますよね。
だから売上以外にそれなりの確度の数字がほしいのです。
 

ぶっちゃけ支持率の数値化はむずかしい

だからプロセスにおいて、なんらか「支持率」を測る指標が必要で、これまでアクセス解析の数字(訪問頻度や滞在時間)をゴニョゴニョして出そうとしてきたんだけど、これがなかなか悩ましくて。
  • 訪問頻度が高いほど支持率は高いといえるのか
  • その場合、何回以上訪問すると「支持者」と捉えていいのか
  • 毎日訪問するけど、一度も購入したことがない人をどう評価すべきか
たとえば「20回以上訪問してくださったユーザー」を「常連」と位置づけて、訪問者全体における常連の割合や実数の推移を測ることで、常連の期待を裏切ってない、信頼を損ねていないという状態がある程度わかるかなと思ってきたけど、スマホでの閲覧率が高まり、ソーシャルメディア経由の訪問がかなりの割合を占めるようになると、全体的な傾向としては「細切れな訪問」――つまり直帰や数ページだけ閲覧するセッション――が増え、その一方で同じ日に同じ人が何度も訪問したりするため、訪問回数や訪問深度(訪問あたりPV)などでユーザーの状態を把握することがむずかしくなってきています。
 
スマホソーシャルメディアが出てくる前からその傾向はあったんだけど(それこそ滞在時間が長い=サイト動線が悪くて使いづらいとか)、このふたつがもたらした変化とは、アクセス解析を読み解くむずかしさが増したことだよね。
アクセス解析だけじゃなくRFM分析とかも解釈をアップデートしていかないといけない)
 
支持率の数値化というのは最愛戦略における最大の課題で、個人的には「(自分がやってほしい、を起点に考えた)正しいと思うことをやってれば、測定するコストがムダなので、売上推移だけ見てればいいんじゃないか」と思うものの、そんなふうに割り切れる状況はめったにないので施策実行の意思決定のためにも、継続可否の判断のためにも数値化は必要になってきます。
 

NPSがあったっけ

で、そういえばNPSってあったじゃないかと、今回会社でアンケートを実施するにあたって復習してみたら、これで十分な気もしました。
けっこう長くなったので、マーケティングis.jpにずいぶんひさしぶりに投稿してみたのがこちら。NPSとはなんぞやってことから書いてるので、よくわかんない方はぜひ。

顧客満足度は減点法で評価される傾向にあるので、フリーアンサーにも不満点が書かれることが多いです。もちろんこうした意見は貴重なのですが、結果的に欠点をなくす方向の改善がなされがちで、これは最安戦略や最高戦略を採用していたり、あるいはナンバーワン企業が2位以下の競合企業が繰り出すすべての施策をカウンターで相殺していく場合には有効なんですけど、そうじゃない企業の場合は限界が生じやすい。
また、減点法で高評価する人は論理的な判断をする人でもあるので、他社へのスイッチが少なくないともいえるから、必ずしも支持者とはいえないという問題もあります。
 
一方でNPSの場合はどちらかというと加点法での評価であり、誰かに薦めるに値するという評価は本人に責任を伴うものだから(薦めといて自分はとっととスイッチすることは考えづらい)、少なくとも満足度調査よりは支持者を把握することができる。
 
ちなみに最愛状態になるとどんなことが起きるかについては経験上知っていて、たとえばお客さんからの提案が増えるとか、メルマガなどで意見を募集した際に多くの回答が寄せられるといったものがあります。
あるいは定期的に発行していたメルマガが配信されなかったりすると「楽しみにしてるんですけどちゃんと受け取れなかったみたいなので再送をお願いします」なんてメールが届いたり(「こっちが遅れてただけです、ごめんなさい」って返事したことも)。
ほかにもソーシャルメディア上に好意的なコメントが増えるというのもありますね。
 
ちょっと前の記事ですが、ビービット遠藤さんが書かれた記事にNPSが高い(推奨者が批判者を大きく上回っている)企業には以下のような影響があらわれるとありました。
Repurchase(再購入)
初回の購入にとどまらず再度購入してくれる、あるいは購入してくれる頻度が高まる。
 
Buy additional lines(一度に買う量が増えること)
例えば、オプション製品の購入やアップセルにつながりやすい。
 
Refer others(クチコミ)
推奨者が「いいよ」と勧めれば買う気になり、批判者が「よくない」というと買う気がなくなる。近年、ソーシャルメディアの台頭によって、より重視されるようになってきている。
 
Provide constructive feedback(高い価値を感じている、推奨者からの建設的なフィードバック)
プロダクト開発やサービス改善にも応用できる。また、働いている人たちのモチベーション向上にもつながり、組織全体をパワーアップさせる。
 

まさに、ですね。
正しい母集団に正しく調査する、という前提を守ればNPSは支持率を測る指標として十分使えるんじゃないかと思いました。

とはいえNPSの調査を毎週やるわけにもいかないので(小さなサンプルに対して聞いていくというのはあるかもしれないけど)、たとえば年に1回〜四半期に1回くらいはNPSで現状を把握しつつ、週次や月次においてはやっぱり訪問頻度や滞在時間などの数字をゴニョゴニョしていくしかないんですけどね。
ここはいろんな人といっしょに考えていけるといいなと思ってます(興味がある人はぜひご連絡ください)。
 
ちなみにリンクした記事ではアメリカのNPS調査の一覧も引用したんですけど、AmazonAppleは70を超えてて(NPSは-100から100の間)、まったくもってすごいなと。日本にそんな企業あるかなあ。むかしのソニーとかは70超えてただろうけど。

おもしろき こともなき世を おもしろく すみなしものは 心なりけり